第3話

#3 追っ手
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2021/10/20 14:55
🏴☀🏴
じゃあね
そう言って手に握りしめていたカッターナイフを首のラインに持ってくる






カッターナイフってそんな威力ないように感じるよね…?





実はそうじゃないんだ

太い血管に刺せば出血死するんだってさ




 


なんでそんな痛そうな死に方するって??














だって僕は今まで自分が生きてるって感じた事なんて一度も無かった





だから血を見たり痛みを味わったら
あぁ自分は生きてたんだなって分かるじゃん? 













うん、それって最高










よし、こんな余談は置いといて
今からもう何もかも全てを終わりにしよう
さようなら
カッターナイフが月の微かな光に照らされてキラッと光った瞬間、
ヘチャンは勢いよく首へ刺した……

 




、、、と同時に





何か鉄の棒みたいなのが飛んできて思わず避けてしまうと、手からカッターナイフが滑り落ちてしまった





飛んできた方向には人の家のドアを勝手に開けたあの黒い影の男が
あんたは誰?
……
ねぇなんで邪魔したの?
だんだん男の顔がはっきりと見えてきた







僕を殺そうとしたようなおっさんかと思っていたけど
そこに立っていたのは凛とした左右対称の綺麗な顔をした自分と同い年くらいの青年だった








一瞬自分と同じ仲間なのかと思った









けれど違った








きちんとした身だしなみに
政府関係者を表すロゴの入ったスーツ












 
僕達"弱者"を殺す 敵 だ






あーぁ、なんだやっぱり敵か…
同い年くらいだから違うと思ったのに
予想通りじゃんㅋㅋㅋ
なんなの?
なんで止めたの?
自分達の手で僕を殺したかったってこと?ㅋ
………違う
じゃあ何?
僕に拷問?尋問?襲うの??
………………違う
何なんだよ
そうじゃないんなら早く死なせてよッ!
…違うんだってば………
………
…………ね…ぇ……話を、……聞い、てよ…
は?
何で聞かなきゃだめなの?!!
あんたそっち側の人間でしょ?!!
ねぇ、あんたは何がしたいの?
あんたの目的は?
殺すだけじゃなく拷問や尋問、襲うことでもない
じゃあ何なの?
ほんとに何なの?
せっかく、せっかく気持ちよく死ねるチャンスだったのに
わざわざ引き止めてッッッ
お願い……もう、もう、楽にさせてよ、、
ずっとこらえていた何かが
水滴のように床に滴る















なぜ泣いているのか…僕にもわからない



    

  









ほんとは今死のうと思えば死ねたのに










 

 でも、僕の本能がそうさせてくれなかった
 












多分、あの青年のせいだ







彼の目は
いつもの追っ手のような
獲物をみるような鋭い目つきじゃなかった











美しく、純粋で今にも消えてしまいそうな光をした弱々しい目















そのせいか、僕はどこかでこの人は大丈夫だと感じてしまった









     






だから死ねなかった

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