前の話
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セドリックに振られて今日で1ヶ月が経つ。
セドリックは、ホグワーツの人気者。
顔も整っていて優しくて勤勉で、勉強も運動も難なくこなす。
そんな彼となんの取り柄もない私が、1年間一緒にいられたことが本当に不思議だった。
しかも2つも学年が違う。寮も違う。
うまくいくわけがなかった。
付き合い始めはよかったものの、だんだんと距離ができ、このような結果になってしまったのだと思う。
みんなが寝静まった夜、私は1人、グリフィンドールの談話室にあるソファに座っていた。
ぼーっと暖炉の炎を見つめていると、自然と涙が頬を流れた。
パジャマのまま男子部屋から降りてきたハリーは私の隣にそっと座り、心配そうに見つめてきた。
私は涙を拭いながら答える。
付き合い始めたときも、別れたときも、セドリックと私のことはホグワーツ中に広まっていたため、既に知っていたハリーは無言で軽く頷いた。
予想外のハリーの言葉に、一度止めた涙が再び流れてきて、私は慌てて拭ったり深呼吸をしたりした。
ハリーの優しい言葉につい嗚咽が漏れ、思っていた気持ちを全部吐き出した。
ハリーはそんな私を否定することなくずっと話を聞いてくれていた。
私の涙が収まった頃にはもう暖炉の炎は小さくなっていて、私の心とは反対に談話室を暗くしていた。
私が女子部屋に入ろうとすると、ハリーが突然大きな声を出した。
私が微笑むとハリーは私の頭の上に右手を乗せ、優しく撫でた。
私の心臓がばくばくと大きく音を立てる。
ハリーのこと、ずっと友達だと思ってた…
だけど、なんだか、
新しい恋の予感がする。
【ハイビスカス・・・新しい恋】
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。