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第31話

story #31
453
2021/08/01 12:50
日が傾いて空が茜色に染る夕方。

寂しさを埋めるように愛し合った2人は

布団の中で裸のまま抱き合って寝ていた。
???
冨岡さん、失礼致しま…す…
……っ…
刺客が来たことも知らずに寝ていた私たち。

私たちが起きたのは日が沈んでからだった。

窓の外に目を向けると

たくさんの星がキラキラと輝いている。

虫の鳴き声が囁く中、私は1人廊下に出て

星の海に浮かぶ月を眺めていた。
あなた

はぁ…

甘露寺 蜜璃
あなたちゃん!
あなた

あ!蜜璃さん!
おつかれさまです!

甘露寺 蜜璃
あなたちゃんこそ!
どうだった?冨岡さん、わかってくれた?
あなた

はい!
冨岡さんがというより私が勝手に
嫉妬してただけみたいです…ww

甘露寺 蜜璃
そっか!wそれならよかった!
ねぇねぇ…
あなた

はい…?

甘露寺 蜜璃
冨岡さんとはどこまで進んだのっ?w
あなた

へっ?!

甘露寺 蜜璃
どこまでやったの?ww
教えてよ〜ww
あなた

あ、えっと…そのっ…

甘露寺 蜜璃
キスはした?
あなた

コクッ…

甘露寺 蜜璃
じゃあエッチは?
あなた

っ?!?!?!

甘露寺 蜜璃
こりゃやったね。ww
あなた

そそそそんなっ!!!

甘露寺 蜜璃
動揺しすぎっww
するのは普通だから
そんなに動揺しなくてもいいのにww
あなた

は、は、恥ずかしいですっ…!

甘露寺 蜜璃
顔真っ赤ww可愛いww
あなた

思ったより自分が嫉妬深くて
重いんだなって思いました…w

甘露寺 蜜璃
…?
あなた

お手伝い役で入った私なんて
眼中にすらないと思ってたのに…w

あなた

恋人になったとたんに、自分の勝手な思い込みでこんなにも困らせてたんだって…

甘露寺 蜜璃
女の子はみんなそんなもんじゃないの?
あなた

そうなんですか…?

甘露寺 蜜璃
自分に自信がないから
他の誰かに取られるって不安になったり
嫉妬したりする。それは女の子だけじゃなくて男の人もそうだよ。
あなた

そっか…

冨岡 義勇
あなた…?
あなた

あ、冨岡さん!

甘露寺 蜜璃
じゃあ、私はお邪魔みたいだから、
またね!
あなた

ありがとうございました!

こうして蜜璃さんと別れ、

冨岡さんと共に部屋に戻る。

部屋の中の空気は少しひんやりとしていた。
あなた

ごめんなさい、起こしちゃいましたか?

冨岡 義勇
いや、大丈夫だ。
あなた

そう…ですか…

背を向けたまま隊服と羽織に袖を通す。

顕になっていた背中は、逞しく美しかった。

少しだけ…と思い、着替え終わった冨岡さんの背中に

額をくっつけてお腹にそっと手を回す。

回した手に暖かい手を添えられて

優しくほどかれる。

そして振り向いてそのまま抱きしめられる。
冨岡 義勇
落ち着く…
あなた

ふふっ…w

冨岡 義勇
何かおかしいか?
あなた

いえ…うれしくて…w

冨岡 義勇
そうか。w
布越しでも分かる冨岡さんの優しい温もり…

大好きな匂いに包まれて幸せだった…

この時間がずっと続けばいいのに…

そう思っていたのも束の間だった。
胡蝶 しのぶ
冨岡さん、今、よろしいですか?
しのぶさんの声にビクッと身を震わせる。
冨岡 義勇
胡蝶…?
何の用だ。
胡蝶 しのぶ
少々お話があるので、
お部屋から出てきていただけると
ありがたいですのですが、ダメですか?
冨岡 義勇
今、手が離せない。
胡蝶 しのぶ
そうですか。
急用では無いのでまた後で伺います。
冨岡 義勇
あぁ。
…こんな朝早くに何の用だ…
あなた

冨岡さん、良かったんですか?

冨岡 義勇
あぁ。いまはあなたとの時間だ。
無駄にしたくない…
冨岡さんと交際するようになってすごく変わった。

感情の変化が今までよりも分かりやすくなったし、

今まで人に情を向けるような人ではなかった。

だけど今はどうだろう…

色んな人に優しくなれて、いつも私は特別扱い…

嬉しいけれど、ちょっと照れくさかった。
冨岡 義勇
今日まで休みだったな…
あなた

はい…

冨岡 義勇
まだ今日1日猶予があると言うのに、
もう離れたくない気持ちでいっぱいだ…
あなた

私もです…

寂しくて寂しくてたまらない…

目の前にいて肌で触れ合っていても

どこか遠くにいる感じがする。

会おうと思えばいつでも会えるのに、

その短い距離でさえ辛く感じてしまう。
冨岡 義勇
許されることなら、
ずっとこうやって抱きしめていたい…
冨岡さんのその言葉に胸が苦しくなる。

ずっとこうやってくっついていられたら

どんなに幸せなんだろう…

でもそんなわがままは言ってられない。

冨岡さんは鬼殺隊を取りまとめる柱の1人。

誰よりも冷静で的確な判断を下す人でなければならない

私なんかのせいでその役割を邪魔してしまえば、

別れさせられるどころか

二度と会えなくなるかもしれない…

冨岡さんだって我慢してる…

私だけじゃないんだ…
あなた

義勇さん…

冨岡 義勇
ん…?
あなた

もう1回…

冨岡 義勇
え?
あなた

もう1回…
私を…抱いてください…

義勇さんのものである証明が欲しい…

会えなくても寂しくならないように…

いつでもあなたの事を思い出せるように…
冨岡 義勇
なぜそんなことを…
あなた

好きだから…
義勇さんが好きだからです…

自分の心の奥にしまっていた好きが一気に溢れ出す。

1度あふれたその感情は止めることは出来ず、

どんどん大胆になっていく自分が怖かった。

引かれてもいい…嫌われてもいい…

どんな形でもいいからあなたのそばにいたい…

息がかかるほどに顔を近づけて

綺麗に整った唇に自分の唇を重ねる。

義勇さんの首に手を回し、

何度も向きを変えて唇を重ね合う。

2人の服が擦れる音と接吻の音だけが部屋に響く。

そのまま布団に押し倒されて指を絡めて手を繋ぐ。

あぁ…幸せ…

義勇さんのこと以外考えられない…

義勇さんのこと以外考えたくない…
冨岡 義勇
あなた…好きだ…
義勇さんの恋人は私なんだ…

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