第27話

story #27(※ちょっと🔞)
1,152
2021/01/22 05:35
ー 次の日 ー


私たちは宿を出て屋敷への帰路についていた。

冨岡さんは、行く時とは違い、

隣に並んで歩幅を合わせて歩いてくれた。


また今回も迷惑をかけてしまった…


そんなことを思いながら、俯いて歩く。

反省して、稽古をつけなければ。

また迷惑をかけてしまう。

もうそんなことは出来ない。

私だって柱なのだから。
冨岡 義勇
昨日の凪は、練習したのか?
あなた

あ…はい…
以前、冨岡さんが任務の際に、使われていてそれで、私もできるようになりたいと思って1人で練習してました…

冨岡 義勇
どのくらい練習したのか?
あなた

そうですね…どのくらいでしょう…
長かったのであまり覚えていないんですが
1年くらいは練習してたと思います…

冨岡 義勇
そうか。1年で習得した割には
上出来だったな。
あなた

ほんとですか?!

冨岡 義勇
あぁ。見事に目を奪われた。
そして、この技を使えるのは
俺と桜庭だけだ。
あなた

やったっ…

冨岡さんに褒められた。

それに凪が使えるのは冨岡さんと私だけ…

とても嬉しかった。

2人だけの秘密ができたようで心が高鳴った。


*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――*☼*


しばらく歩き、屋敷の前に着いた。

すると冨岡さんは私の方を振り向き、
冨岡 義勇
任務、お疲れ様。
と、言った。

その言葉が嬉しくて、私も笑顔で
あなた

はいっ!
お疲れ様でしたっ!

と答える。

冨岡さんは、少し顔を赤くして

俯きながら笑った。

その笑った顔はとても綺麗で

思わず目を奪われてしまいそうだった。

その後、吸い込まれそうなほど

まっすぐな目で私を見つめ、
冨岡 義勇
好きだ。
と言った。

急な予想外の言葉に顔が熱くなっていくのがわかる。

そしてさっきと同様、
あなた

はい、私もです!

と笑顔で答える。

そのまま冨岡さんの硬い胸に抱かれ、

大好きな匂いに包まれた。

幸せな気持ちで胸がいっぱいになる。
冨岡 義勇
屋敷に入ろう。
早く御館様に報告しなければならない。
体を離すと、いつものお仕事モードの冨岡さん。

そんな冨岡さんもかっこいいから好きだ。


*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――*☼*

報告を済ませて、それぞれの部屋に戻る。

私たちは2日間の休暇を頂くことになった。

その日の夜、冨岡さんは私の部屋を訪ねてきた。
冨岡 義勇
桜庭、ちょっといいか?
あなた

どうぞ…?

何があったのかと尋ねると、
冨岡 義勇
特に用はない。
あなたの顔が見たかっただけだ。
と言う。

思いがけない言葉に私は顔を赤くする。

自分でも熱くなっていくのがわかった。

そんな恥ずかしいこと、サラッと言えるのか。

と思いながらも、
あなた

私もっ…冨岡さんとお話…
したかったです…

と、赤くなった顔を俯かせながら答えた。
あなた

冨岡さ…

冨岡 義勇
そろそろ俺の事、
下の名前で呼んだらどうだ?
あなた

え…

冨岡 義勇
任務中や仕事の時はもちろん、
苗字だろうが…
こうやって、プライベートの時まで
苗字で呼ぶのは恋人らしくない…
あなた

ですが…

冨岡 義勇
俺だって、あなたのことは、
2人の時下の名前で呼ぶようにしている
別に無理して今すぐそう呼ばなくていい
ただ、距離を感じるから…
それに、俺だけ好きみたいで…
なんか…嫌だ。
そんなふうに思っててくれただなんて

考えたこともなかった。

すごく嬉しかった。
あなた

ぎ…義勇…さん…

恥ずかしいけど

なんとなく下の名前で呼んでみる…

すると彼は、いつもより優しくて柔らかい

表情と声で
冨岡 義勇
なんだ?
と聞き返す。
あなた

っ…///

やっぱり恥ずかしさが勝ってしまう私は、

恥ずかしさのあまり、赤くなった顔を

両手で覆って隠す。

そんな私の顔の前に、

小指を立てた右手を差し出し、
冨岡 義勇
2人だけの約束だ。
と言った。

それがとても嬉しかった。

私は、冨岡さんの小指に自分の小指を絡め、

" 2人だけの時は名前で呼び合う "

そう約束した。
あなた

私、そろそろ寝るんですけど…
冨岡さんはどうされますか?

冨岡 義勇
今約束したばかりだろう。
あなた

え…?あっ…w

冨岡 義勇
まぁいい。
あなた

な、なんか…すみません…

冨岡 義勇
気にするな。
そんなこと言われても、

今みたいな言い方されたら気にするよ…
冨岡 義勇
今日はここで寝たい。
思いがけない言葉に動揺を隠せない。

と、冨岡さんと…2人で…

って私!何、妄想してるの?!

は、恥ずかしいぃっ…
あなた

へっ…?!
こ、こ、こ、ここで…ですかっ?

冨岡 義勇
ダメか?
そんなの…断る理由がない…
あなた

ぜ、全然っ!

そう答えると、冨岡さんは私の布団をめくり、

こっちに来いと言うように

布団をトントンっと叩く。

私は促されるまま、ロウソクの灯りを消して

冨岡さんのいる布団の中に入る。
あなた

し、失礼しますっ…

な、何これっ…

き、緊張して顔見れないっ…

冨岡さんは仰向けに寝る私の方を向き、

左手で私を抱き寄せるように肩を持つ。

心臓の音が聞こえてしまいそうな程に

トクトクと早い脈を打っていた。

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