―2週間後―
その頃14歳の同級生と仲良くなれた
その子は笑夏と言った
えみちゃんには妹がいて颯夏という名前の可愛らしい子だ
そよちゃんとえみちゃんは施設内でいっちばんかわいくていっちばん優しい天使だった
コウも同級生の男の子と仲良くなって施設の生活に慣れてきたようだった
そんなときだった
施設の先生に呼び出された
ゆかこさんとは初めに車で送ってくれた施設の方だ
今では施設のなかで一番仲のいい先生
そうそう、お話の部屋っていうのは色々な相談をできたり、電話が置いてあったりする場所
何回もここで飯田さんに電話してきた
何度もここの部屋で救われた
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ガチャ
”まだ聞いてないから分かりませんよ!笑”
なーんていうツッコミを挟みつつゆかこさんのお話を聞いた
学校……か
民族で通っていた学校は施設以上に酷い環境だった
バレス語は禁じられてラウラ語を教えこまれる
バレス族について全てを否定され
ラウラ国が全てである、世界の基準である
と教えこまれた
わたしはお母さんから”バレス族であることに誇りを持つこと”と教えこまれていたから洗脳されなかったけど
多くの仲間たち……半分くらいの仲間たちは洗脳されていった
バレス族を否定されることもだが仲間たちの人格が壊れていくのが辛くて怖かった
日本の学校は大丈夫だよね?
バレス族を否定しないよね?
コウも私も民族の施設を思い出して泣いてしまっていたらしい
優しく”大丈夫だよ”
そう言われるのがわたしとコウにとっての薬のようになっていた
じんわりと暖かい言葉
”家族”みたいだな
その後わたしとコウは学校に行くことに決め、二学期から通うことになった
そこで名字が必要になった
ゆかこさんは考えといて!なんでもいいから!
なーんていうけど……
えぇ……これから……いつまでかはわからないけど
バレス族のみんなの元に戻れるまでは今から考える名前使うんでしょ??
すごく大切だと思うんだけどな……
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なんだかんだ言いつつ2人も考えてくれて……
ああだこうだいいながら考えて
2日かけて出た答えがこれ”夕希”
”夕”方(夜に近かったのは秘密)に飯田さんに拾われたこと
”奇”跡
それを名前に入れたかったんだ
わたしは今日から夕希サラとして生きていく
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コウside
なーんてことを部屋で言っていたら外に聞こえていたらしく……恥ずかしい
最近仲良くなった中学3年生同級生の修斗がやってきた
なんだかんだ言いつつ一緒に名字を考えてくれた
俺の好きな物やたらと聞くなぁと思ったら名字に取り入れてくれたらしい
波夜コウ…かなかなかかっこいいなあ笑
修斗に聞くとコウっていう名前から”光”っていう字が浮かんでたらしく
夜を照らす光とかかっこよくない?って言われた
……確かにかっこいいな笑
俺は波夜コウとして生きていく
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。