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第4話

伝えそびれたもの
メリフの傷の手当をしているところ。
殴られた跡は大きな痣となって顔に残ってしまっている。


「痛いっ」

「あっ…ごめんな」


メリフは小さな声で言う。
メリフの種族、想狼族は精神年齢が妖狼族よりも少しばかり遅いのだが、メリフはそれが外見に出てしまった。

だから誰よりも小さな身長で、しっかりとした性格だ。

かなり珍しい成長の仕方ではあるが、想狼族であることは間違いない。


「メリフの父さんは元気か?」

「今は元気じゃない。ベッドで休んでる。」

「そうなのか。」

「私が生まれて一度しか狼になった所を見たことがないの。」

「もしもだ。」

「?」

「もしもメリフの父さんが亡くなられたら、メリフは想サラ国の国王を継ぐのか?」

「うん。」

「そっか…。じゃあ早めにここを出ないとだな。」

「でも私っ!イラールフと離れたくない。もう引き離されたくない!ずっとぎゅってしてたいの!」


メリフは突然泣きだした。
これが戦争が始まってからの今までの思いなんだろう。ずっと同じことを思って生きてきた。その思いがどんなものなのか、俺には痛いほどわかる。

だから俺はさっきよりも力強く抱き返した。

小さな体は今にも壊れそうだった。


「メリフ。」

「…?」

「どちらにせよ想サラ国には返さなければならない。」

「なんで!?いやだ!!」

「メリフ。分かってくれ。」

「それが今の壊れた世界のやり方だっていうの?」

「それに従うことしか出来ないのは国王じゃない。」

「え?」

「つまり、俺は従いながら抗うよ。メリフを俺のそばで守るために。」

「従いながら…抗う…?」

「メリフが想サラ国に帰ったとしても。俺は必ず会いにいくよ。どんな手を使っても。それは国王としてじゃなく、一人の男として…。」

「イラールフっ…!!」


あぁー。また泣き出してしまった。
かわいいものだ。

あっ。耳が生えてる。
このままだと他のやつにバレてしまう。


「メリフ、耳、生えてるぞ」

「あっ。ごめんね、イラールフってずっと考えてたら…」

「嬉しいけど…宮殿や妖アス国の軍人にバレると良くないから。」

「うん、わかった。」

「それと…しばらく外に出られないかもしれない。」

「バレちゃうからでしょ?大丈夫だよ。」

「理解していてくれて良かったよ。」





それから幾つの日がたったか。
俺自身に敵味方がハッキリとしたのは。