第2話

神山智洋
1,329
2021/06/16 10:44
美香
お待たせ〜!
いやぁ〜並んだ並んだ!
美香と拓巳君が戻ってきた。
拓巳
神ちゃん、ありがと。
行ってきてもいいよ。
美香
あっ!待って拓巳!水飴食べたい!
神ちゃんと行って買ってきて!
拓巳
えぇっ!?めんどくせー
美香
いいから!行ってきて!!
あなたのもね〜すももね〜
2人は屋台へ。


神ちゃんも行くんだ!?


さっき人混み苦手って言ってたよね…


もしかして私が1人になるから、


気を使ってくれたのかな…
美香
ねぇねぇ、神ちゃんと2人で何話してたの?
あなた

うん?特になにも…
敬語使わなくていいよ、みたいな?
てかさ、神ちゃんて、人混み苦手なの?

美香
えっ?いや、聞いたことないけど。
あなた

ふーん…
あっ!なんかね、誰かと電話してたから、彼女ですか?って聞いたら、違うって冷たく言われたんだけど、まずかったかな…

美香
あっ、それね、多分あゆみだわ。
あなた

あゆみ?彼女さん?

美香
ちがうよ!
一方的に神ちゃんが好きなだけ。
あなた

へぇ…

美香
本人から聞いたわけじゃないんだけど…あゆみから電話くると、すぐあゆみんとこ行っちゃうんだよ。
あなた

そうなんだ…

美香
なに?残念そう笑
あなた

えっ!?そんなんじゃないよ!

美香
ならいいけど!
おすすめはしないよ!
私さ、あゆみと今喧嘩しててさ。
もう半年ぐらい会ってないな…
あなた

半年も!?

美香
そう。幼馴染だからいずれは仲直りすると思うけど、今はする気ないし会いたくもない。
神ちゃんは仲直りさせたいみたいだけどね。
あなた

あゆみさん?と何があったの?

美香
話せばねぇ、長くなるんだけど…
まっつん
たっだいまー!
美香
てかさ…ほんとタイミングのいい男だよ!
まっつん
えっ!?なになに?俺すごい?
美香
すごくないわ。
じゃ、あなた、この話はまた今度ね。
あなた

うん。

まっつん
えっ!?なになに!?教えてよ、俺にも!
あなた

あっ、そうだ!私、ラムネ買ったんだ!
よかったらどうぞ!

美香
ありがとー!
まっつん
俺のも!?ありがとう!
きぃ君
なんか盛り上がってるじゃん!
美香
おかえりー!
あなたがね、ラムネ買ってくれた!
きぃ君
おっ!サンキュー!
あなた

どぞ!

美香
じゃ、みんな揃ったらラムネで乾杯しよー!
しばらくして、拓巳君と神ちゃんも帰ってきて。


みんなで乾杯した。
まっつん
あのさ、ラムネのビー玉、
取る派?取らない派?
美香
取る派のひとー!
私ときぃ君以外は手を上げて。
美香
えっ!?取らない人いんの!?
きぃ君
逆に取ってどうすんの?
美香
とりあえず持って帰る。
てかさ、あなたラムネ好きなのに取らないの?
あなた

子供の頃は取ってたけど…
最近は取らないなぁ〜

美香
じゃ、ラムネのどこがいいの?
あなた

えぇ!?んー…音…とか?
このカランカランて音。この音好き!
なんか、夏を感じさせるっていうか。

神ちゃん
神ちゃん
それ、わかるわ!音ええよなぁ。
拓巳
夏の飲み物って感じもするわ!
そんな会話をしていると、


パーン!!


花火が上がって。


目の前にキラキラの大きな花びらが広がる!


迫力があって、圧倒されて。


こんな近くで見たの初めてで。
美香
どう?すごいでしょ?
次々にあがる花火に目を奪われ、


あっという間に時間が過ぎていった。
まっつん
たーまやー!!
すごかった…


何もない空を見あげながら余韻に浸っていると、
神ちゃん
神ちゃん
取れた!!
まっつん
俺も俺も!!
美香
ちょっと拓巳!私のも取って!
拓巳
はいはい。
きぃ君
俺も取ってみよ!
みんなラムネの中のビー玉を取っている。


私も!と頑張るけど、なかなか取れず…
神ちゃん
神ちゃん
やろか?
あなた

うん!ありがと!

神ちゃんは私の手から瓶を取ると、


簡単にビー玉を取り出した。
あなた

すごっ!

神ちゃん
神ちゃん
お安い御用やで!はい!
もらったビー玉をまじまじと見てしまう…


こんなに綺麗だったっけ…
あなた

めっちゃキレイ…

神ちゃん
神ちゃん
そやなぁ。
楽しかった思い出に、


大切に取っておこうと決めた。
美香
あなたは門限とかあるの?
あなた

うん…今日は10時までかな。

美香
そっか!じゃ、もう少し人がいなくなったら行こ!
あなた

うん!
1人で駅まで行けるから大丈夫だよ!

きぃ君
俺、送るよ!
美香
きぃ君やっさし〜
神ちゃん
神ちゃん
おっ、電話やわ…もしもーし。
神ちゃんは電話しながら席をたった。
美香
またあゆみだったりして。
拓巳
またって?
美香
さっきもかけてたらしいよ。
あなた

あっ、でもあゆみさんじゃないかもしれないし!
女の人の声だっただけで…

きぃ君
いやっ、それはあゆみしかいねーな。
まっつん
神ちゃん、本当に好きだなぁ〜。
拓巳
お前、絶対本人の前で言うなよ!
あなた

なんで?

拓巳
めちゃくちゃ真面目に怒るから。
返事、冷たかったもんな…


嫌だったんだね…きっと。
地元の友達
おっ!拓巳じゃね?
地元の友達だろうか。


久しぶりだったようで、みんなで盛り上がってる。


神ちゃんが電話から戻ってきて。
拓巳
神ちゃん…は知らないか。
こいつら小学校からの友達。
神ちゃん
神ちゃん
ども!
地元の友達
ちわっす!
あっ、そういえばあっちに森先生いたわ。
きぃ君
マジで!?
地元の友達
今もいるんじゃね?行く?
きぃ君
あっ、でももうすぐあなたちゃん行く時間だよね?
神ちゃん
神ちゃん
俺送ってくで。行ってき!
きぃ君
マジ?じゃ、ちょっと行ってくるわ。
まっつん
俺も!!
拓巳
あいつらの担任だったからな。
美香
そうそう。
森先生って変わっててね、
みんなが静かにならないと、
昔のアニソンとか全力で歌い出しちゃって。
しかも真面目な顔で。
ある意味怖くて、みんな静かになるんだよ。
あなた

だいぶ変わった先生だね。

拓巳
マジでやばいよな。
神ちゃん
神ちゃん
おもろいやん。
美香
あっ、そろそろじゃない?あなた。
あなた

うん!じゃ行くね!
あの、本当1人で大丈夫だよ!

神ちゃん
神ちゃん
いや、まだ人多いし、
迷子になったらあかんやろ?行くで。
拓巳
さすが!心配性!
神ちゃん
神ちゃん
なんやねん笑
美香
じゃ、あなたまたね!
あなた

うん!今日はありがと!
メールするね!

みんなと別れ、神ちゃんと駅まで歩く。


河川敷から道路に出るまでの所に、


少し急な坂があって。
神ちゃん
神ちゃん
大丈夫?滑らんようにな。
と、優しく声をかけてくれる。
あなた

うふふ…

神ちゃん
神ちゃん
なに?
あなた

本当に心配性なんだなーと思って。

神ちゃん
神ちゃん
そうなんかなぁ?自分ではようわからへん。
あなた

優しいんだね。
はぁー!でも今日は楽しかったー!

神ちゃん
神ちゃん
ほんま?それはよかった!
あなた

地元で花火大会って羨ましいよ。

神ちゃん
神ちゃん
また来ればええやん。
あなた

うん!あっ、来年は…受験だ…

神ちゃん
神ちゃん
そや!勉強してる?
あなた

うん…一応…お母さんが煩くて。
神ちゃんは?

神ちゃん
神ちゃん
俺はダンスやってんねんけど、専門学校に行こうか迷っててん。
あなた

ダンス!?かっこいいね!
やりたい事あっていいなぁ〜
私なんか言われてやってるみたいなもん。
でもね、やるからには頑張っていいとこ入ってやるって思ってるんだ!

神ちゃん
神ちゃん
うん!頑張り!
あなた

ありがと!あっ、そろそろ駅だよね…
お財布だしとこ!って…ん?あれ?

神ちゃん
神ちゃん
どした?財布ないの?
あなた

違う…財布はあるんだけど…
ビー玉がない!!

神ちゃん
神ちゃん
ビー玉?
あなた

ラムネの!なんで?どっか落としちゃった!?
せっかく思い出に取っておこうと思ったのに…

すると、神ちゃんはポッケに手を入れ、
神ちゃん
神ちゃん
あった!はい!
あなた

ん?

神ちゃん
神ちゃん
あげるわ!
あなた

いいの!?

神ちゃん
神ちゃん
ええで。どうせどっかへ行っちゃうものやし。
あなた

うわっ!嬉しい!!

神ちゃん
神ちゃん
そんな喜ぶ?笑
あなた

うん!!宝物にする!

神ちゃん
神ちゃん
大袈裟や。笑
あなた

ありがとう!!

もらったビー玉を握りしめ、


改札口でさよならをした。


ホームで電車を待ちながら、


ビー玉を見つめる。


ただのラムネのビー玉なのに、


キラキラしたガラスの宝石に見えて。


家に帰って、小さい箱に入れ、


机の引き出しに、大切にしまった。

プリ小説オーディオドラマ