第11話

神山智洋
1,007
2021/06/25 01:20
ダンススタジオのある渋谷で待ち合わせ。


人が多くてちゃんと会えるか心配だったけど、


神ちゃんは私を見つけてくれた。
神ちゃん
神ちゃん
いた!おはよう!
今日はほんま、ごめんやで。
あなた

おはよ!
全然大丈夫だよ!

神ちゃん
神ちゃん
ありがとな!
ほな、行こか!
差し出された手を強く握る。
神ちゃん
神ちゃん
あれ?
あなた

ん?

神ちゃん
神ちゃん
手汗ないなぁ。
あなた

えぇっ!!

神ちゃん
神ちゃん
それはそれで寂しいわ…
あなた

でも、ドキドキしてるよ!

神ちゃん
神ちゃん
あはは!ほんまか?
あなた

いひっ!

神ちゃん
神ちゃん
うそか!?なんやねん!
ほんま、かわええなぁ。
本当はなぁ、連れて行きたくないねんけどなぁ。
あなた

なんで?

神ちゃん
神ちゃん
男ばっかやし。
あなた

あっ…ヤキモチ?

神ちゃん
神ちゃん
あんまり喋らんといてな。
あなた

はい!

神ちゃん
神ちゃん
もうすぐな、その後輩達のイベントがあんねんけど…
あなた

うん。

神ちゃん
神ちゃん
俺が振付してな、やから、見てほしいって。
あなた

振付!?そんなのできるの!?

神ちゃん
神ちゃん
俺、こう見えて結構すごいねんで。
あなた

うん…

神ちゃん
神ちゃん
いや、そこは突っ込んで!
あなた

いや、突っ込めへん…

神ちゃん
神ちゃん
関西弁…笑
そんなこんなでスタジオに着く。


中に入ると、5人の男の人がいて。


『おはようございます!』


と神ちゃんに挨拶をする。


私も、お辞儀する。


そのうちの1人が私の所に来て、
後輩 カズ
なんかすいません、
デートの邪魔しちゃいまして…
あなた

あっ、いえいえ…
気にしないでください。

後輩 カズ
あっ、ここ座ってください!
と、椅子を持ってきてくれた。
あなた

ありがとうございます。

神ちゃん
神ちゃん
よっしゃ、やるか!!
テキパキと指示を出す神ちゃん。


それに応える後輩君たち。


みんなすごく真剣で、


集中して、


一生懸命で。


そこには、深い信頼関係が見えて。


感動して胸が熱くなった。


なんだろ…この感じ…


すごく応援したくなって、


私も頑張らなきゃって、


元気をもらえて…


とても不思議な感覚だ。
後輩 カズ
なんか、ほんとすみません…
退屈ですよね?
もうすぐ終わらせますんで。
あなた

あっ、本当に気にしないでください。
ダンス見るの初めてで、すごく楽しんでるんで!大丈夫です。

後輩 カズ
えっ!?初めてなんですか!?
ちゃんと踊ってるの、見たことないんすか!?
あなた

はい…

神ちゃん
神ちゃん
おい、お前!何話てんねん!
後輩 カズ
いや、彼女さん、神山君のダンス見たことないって…
神ちゃん
神ちゃん
そやで。
後輩 カズ
マジすか…じゃ、ほら、こないだのイベントの!
俺も踊るんで見せてあげましょうよ!
神ちゃん
神ちゃん
ええっ!?踊れるかな…
あなた

うん!見たい!

神ちゃん
神ちゃん
じゃ、ちょっと待ってな…思い出すわ…!
そう言って振りを思い出しながら軽く踊ると、


身体をほぐすように、体操を始めた。
神ちゃん
神ちゃん
よっしゃ!じゃ、行くで!
ちゃんと見ててな!
後輩君が音楽を流す。


鏡越しだけど、すごい迫力で。


そのパワフルさに圧倒され、


言葉がでない…


カッコ良すぎて見入ってしまう。


この人が私の彼氏?


嘘でしょ…


最後は感動して泣きそうになった。
神ちゃん
神ちゃん
うわっ!めっちゃしんどい…
後輩 カズ
さすがっすね…
神ちゃん
神ちゃん
本気で踊ったわ。
カッコよかったやろ!
あなた

うん!すごくよかった!!

神ちゃん
神ちゃん
うわぁー腹減ったぁー!
時計を見ると、2時…


あれ?11時に待ち合わせしたんだよね?


もう3時間も経ってる!!
神ちゃん
神ちゃん
ここ何時まで借りてるん?
後輩 カズ
5時です。
神ちゃん
神ちゃん
やる気満々やな。
後輩 カズ
俺もかわいい彼女ほしいんで。
神ちゃん
神ちゃん
頑張り!笑
後輩 カズ
あの、本当こんな時間までありがとうございました!
神ちゃん
神ちゃん
もうええの?
後輩 カズ
もう大丈夫です。
神ちゃん
神ちゃん
じゃ、またなんかあったら呼んでな。
後輩 カズ
彼女さんも、ありがとうございました!
あなた

こちらこそ、素敵なもの見せてもらいまして…ありがとうございました。

スタジオを出ると、


神ちゃんは申し訳なさそうに言った。
神ちゃん
神ちゃん
ほんまごめんやで。
あなた

うん!また見せてくれたら許す!

神ちゃん
神ちゃん
あはは!
あなた

すっごくカッコよかったよ!感動した!

神ちゃん
神ちゃん
よかったわぁ…今度はちゃんとしたステージでな。
つうか、あっつ!汗やばっ!
シャツ買いに行ってもえ?
あなた

うん!どこ行く?

神ちゃん
神ちゃん
いつも行く店があんねんけど…
あなた

じゃ、行こ!
はい、手!

神ちゃん
神ちゃん
あかん…汗すごいから。
あなた

いいの、いいの!気にしない!

神ちゃんの手を取って歩く。


この人は私の彼氏なんだぞー!


って見せびらかしたい気持ちでいっぱいだった。


あんなにすごいなんて思わなかった。


また私の知らない神ちゃんが1人増えた。
あなた

あの後輩君達は高校の?

神ちゃん
神ちゃん
いや、俺な、学校のと、スクールのと2つやってんねん。今のはスクールの子達やで。
あなた

一個下とか?

神ちゃん
神ちゃん
いや、同い年が3人と、2個上が2人やな。
あなた

えっ!?年下じゃないの?

神ちゃん
神ちゃん
おん。
あなた

いや、おん…じゃなくて。

神ちゃん
神ちゃん
スクールはな、入ったもん順なんやけど、俺な、小さい頃から大阪スクールにおって。
中学からこっちの東京スクールに入ったんやけど、関係なく先輩になってん。
あなた

そうなんだ…

神ちゃん
神ちゃん
ダンスは5歳からやってるからな。
うまいもんやろ?
あなた

神ちゃんて、歌も上手いし、ダンスも上手いし、カッコいいし、優しいし、時には頼もしいし、

神ちゃん
神ちゃん
えっ、なに?笑
あなた

私なんかの彼氏でいいのかなーって。

神ちゃん
神ちゃん
なんやねんそれ!!
あなた

えっ?

神ちゃん
神ちゃん
俺はあなたちゃんがええし、
あなたちゃんやないとあかんの!
もうそんな事、絶対言ったらあかんで!
あなた

はい…

怒られてるのに嬉しい…


とても複雑な気分だ…
神ちゃん
神ちゃん
あっ!ここや!
こんにちわ。
そのお店はシャツ専門のお店で、


店内は狭いけど、おしゃれでかっこいいものが沢山。


決めていたものがあったようで、すぐにお会計。


試着室で着替えてとても満足そう。
神ちゃん
神ちゃん
どう?
あなた

うん!似合ってる!

神ちゃん
神ちゃん
ありがとう!
この笑顔がたまらなく好き。


お店を出ると、
神ちゃん
神ちゃん
お腹減ったなぁ…何か食べよか?
あなた

うん…何食べたい?

神ちゃん
神ちゃん
ガッツリいきたいわ!
あなた

ガッツリ…
好きな食べ物なに?
あっ、スイーツ以外ね!

神ちゃん
神ちゃん
ん…唐揚げかなぁ。
あなた

えっ!?一緒!私も唐揚げ大好き!

神ちゃん
神ちゃん
ほんま!?
あなた

好きな食べ物は?って聞かれたら唐揚げって言うよ!

神ちゃん
神ちゃん
やっぱ俺ら最高やな!
あなた

うん!唐揚げ食べよ!

神ちゃん
神ちゃん
この辺やと…よく行く定食屋さんがあんねんけど、オシャレとかじゃないで。
あなた

うん!全然いい!

神ちゃん
神ちゃん
じゃ、行こ!
あなた

かっらあげ♪かっらあげ♪

お店に着く。


メニュー豊富な定食屋さんで。


もちろん唐揚げ定食を注文。
あなた

ここよく来るの?

神ちゃん
神ちゃん
よくでもないけど、こっちで練習ある時は寄るなぁ。
あなた

それにしてもカッコよかったなぁ〜ダンス。

神ちゃん
神ちゃん
ほんま?そんなに?
なんか照れるんやけど。
おしぼりで手を拭きながら、


ニッコニコの神ちゃん。


さっきまでの鋭い目の神ちゃんもいいけど、


こんな風に穏やかで、ふんわりした神ちゃんも好き。


もう胸がいっぱいすぎて、


食べれるかなーって心配したけど、


好きなものはペロリと食べれてしまうわけで。


完食。


ご飯くらい残せばよかったかな…
あなた

おいしかったぁー!

神ちゃん
神ちゃん
完食!?すごいやん!
俺でもお腹いっぱいやで。
あなた

満足満足!

神ちゃん
神ちゃん
それはよかった!
てかもう4時やん!どうする?
あっ!今日の門限は?
あなた

9時だけど、電話すれば10時でもいいって。

神ちゃん
神ちゃん
よっしゃ!まだまだあるな!
あなた

うん!

神ちゃん
神ちゃん
あれやで、どっか行きたいとかあったら遠慮なく言っていいんやで。
あなた

うんとね…

神ちゃん
神ちゃん
おん…
あなた

カラオケ行きたい。

神ちゃん
神ちゃん
ええで。
あなた

ほんと!?

神ちゃん
神ちゃん
全然ええよ!
あなた

また神ちゃんの歌聴きたいなぁ〜なんて。

神ちゃん
神ちゃん
じゃ、今日はバラードでも歌っちゃおうかな〜!
あなた

うん!聞きたい聞きたい!
そうと決まったら、早く行こ!!

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