第14話

神山智洋
953
2021/06/27 02:34
あなた

もしもし…

どうしても声が聞きたくなって、


塾の帰り、電話してしまう。
智
おん!どした?
電話かけてくるの、珍しいな?
元気ないけど、大丈夫か?
あなた

ん?ちょっと声が聞きたくなっただけ。
最近会ってないからかな。

智
ごめんやで…
でも、来週は絶対行くから。
あなた

うん…でも、来週まで待てないかも。
私がそっち行っちゃだめ?

智
我慢、できへんよなぁ…
あなた

うん…

智
そうか…ちょっと待ってな…んー

会いに行くって言ってほしい…


本当に来なくてもいいから。


言ってほしい…


って…


私何してるんだろ…


困らせてるだけじゃん。


ひどい女…


智、ごめんね…
あなた

うふふ、やっぱ大丈夫!
ちょっと言ってみただけ!
来週でも大丈夫だよ!

智
ほんま?
あなた

うん!本当に大丈夫!
今日は?もう練習終わったの?

智
ん?まだやってるで。
2月の中頃にな、イベントがあんねん。
くるやろ?
あなた

智も踊るの?

智
踊るで!
かっこいいで〜。
あなた

じゃ、行かない!!

智
えっ!?なんで!?くるやろ!!
普通くるやろ??
あなた

うん!行く!!

智
なんやねん!
びっくりしたわぁ…
あなた

あはは!
行くに決まってんじゃん!
すっごく楽しみ!!

智
頑張るわ!
あなた

頑張ってね!
あっ!もうすぐ家着くから切るねー!

智
おん!じゃ、来週な。
あなた

うん!
でも、無理しないでね。

智
無理するわ。
俺やてすごく会いたいねんから!
あなた

うふふ…今のすっごく嬉しい…
大好き。

智
俺も大好きやで。
寒いからあったかくして寝るんやで。
あなた

わかった!じゃ、またね!

電話を切った後、


ふと、空を見上げた…


まんまるのお月様に、


うすーい雲がかかってて。


ボーッと見てしまう。


雲が流れるのを待つけれど、


待っても待ってもとれなくて…


冷たい風が吹いてくる。


帰りたいのに、


動けない。


なんでだろ…


私は何をこんなに、


焦ってるんだろ…


しばらく夜風に当たりながら、


頭を冷やすんだ…



美香
あなたー!おはよー!
ねぇねぇ、突然だけど、
クリスマスどうするか決めた?

美香がやってきた。
あなた

まだ何も決めてないよ!
今日ね、久しぶりに会うから聞いてみよ!

美香
今日会うの?良かったじゃん!
あのさ、もしよかったら、
みんなでクリスマスパーティーしない?
あなた

何それ!楽しそ!

美香
地元のカラオケ予約したんだ!
あなた

はやっ!

美香
時間は2時から5時までで…
その後は、こないだ行ったプール覚えてる?
あそこね、今年からイルミネーション始まるんだって!見に行こーよ!
あっ、でも、神ちゃんが2人がいいって言ったら遠慮なく断ってね。
あなた

うん!話してみる!


いつもの公園。


ベンチに座って待っていると、
智
だーれだ!

後ろから目隠しされる。


私はその手の上に自分の手を乗せ…
あなた

んー…誰だろ…
これは…手汗の智だ!!

智
なんやねん!それ!笑
あなた

あはは!久しぶり!!

智
待った?
あなた

ううん!今来たとこ。

智
会いたかったで。

そう言いながら、隣に座った。
智
しばらく見ないうちに…
また可愛くなった?
あなた

ほんと!?

智
うん!ほんまに、かわえ!
あなた

ちょっと!
あんまり見ないでよ!

智
ちゃんと見せて!
会えなかった分、顔見せて!

両手で顔を挟まれ、


智の顔の前へ待ってかれる。


恥ずかしくて目が見れない…
智
ちゃんとこっち見て。
あなた

恥ずかしいよ…

智
いいから見て!

ゆっくり智の目を見る。


優しい目。


安心する目。


大好きな目。
智
うん!大丈夫そうやな!
あなた

えっ?

智
こないだ電話してきたやろ?
そんなん初めてやったから、心配したんやで。なんかあったんかなって。
あなた

ごめん…心配かけて。
でも、何もないよ!
ほんとに声が聞きたかっただけ。

智
そっか!それならよかった!
なんかあったら言うんやで。
あなた

うん!ありがと!


すると、そのままチュッとしてきて。


抱きしめられる。
智
あーあなたやぁ…
会いたかったぁ〜。

智の身体に包まれながら、


私は自分を責めた。


こんなに愛されてるのに、


なんで心配したりしたんだろ!


バカバカバカ!!
あなた

ねぇ智?

智
ん?
あなた

クリスマスどうする?

智
どうしようか…
あなた

美香がね、みんなでパーティーしよって。
で、その後、こないだ行ったプールのイルミネーション見に行こって。

智
あなたはどうしたいん?
あなた

行きたいなって…

智
よしっ!じゃ行こ!

そう言いながら、私の手を取ると、


恋人繋ぎをした。
あなた

手あったかいね。

智
あなたの手は冷たいなぁ。
あなた

そうかな?

智
じゃ、こうしよ。

そう言って智は、


自分のポッケに繋いだ手を入れた。
あなた

あったかい。

智
外は寒いなぁ…
どっか行こか。
あなた

うん!

智
どこ行こ…
あなた

カラオケ行きたい。

智
よし!行こか!

駅前へと歩く。


すると途中で智の携帯が鳴る。


智はすぐに出ようとしない。
あなた

電話、鳴ってるよ。
いいよ、出ても。

智
おん…ごめんやで。
はい…

電話に出る。

智
はい…おん…今、彼女とおんねん。
智
ん…こっちからまたかけるわ。

誰だろ…


またかけるって…


あゆみさんじゃないよね?


気になりすぎて、聞いてしまう…
あなた

今の電話、彼女さんですか?

智
なんやねん、それ。
あなた

ほら、覚えてない?
花火大会の日。
智、誰かと電話してて、私が、
『彼女さんですか?』って聞いたら、
『ちゃうで。』って冷たく言ったの。

智
あっ、あったな!笑
あなた

同じ人?

智
おん…
あゆみって言ってな、友達。
美香の幼馴染やで。
あなた

そっか…
何の用だったの?

智
知らん。
あなた

でも用事があって、
かかってきたんだよね?

智
そやな…
あなた

私に遠慮しなくていいよ。
かけてあげなよ。

智
いや、急ぎじゃなさそうやから…
あなた

ふーん…

あゆみさんは、ただの友達。


あゆみさんは、ただの友達。


あゆみさんは、ただの…友達?


何でかけてきたの?


何の用なの?


てか、智の口からあゆみって…


なんか聞きたくない…

智
どした?
あなた

えっ?

智
気になる?
あなた

別に…

智
気にしてるんやろ?
ごめんやで。
あなた

なんで謝るの?
気にしてないってば!

智
じゃ、なんで怒ってるん?
あなた

怒ってないよ!

智
怒ってるやろ!

せっかく久しぶりに会えたのに…


喧嘩なんかしたくないのに…


したくないけど…


気持ちが抑えられないよ…
あなた

ごめん…今日はもう帰る…


気持ちの切り替えを、


うまくできる自信がない…
智
ちょっと待って!
あなた

ごめん…帰る…

走って智から逃げた。


私が100%悪いってわかってる。


私のヤキモチだってわかってる。


でも、この感情を、


どうすればいいかわからない…


苦しくて、


悲しくて、


胸が痛い。


智、ごめんね…

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