第13話

神山智洋
1,010
2021/06/26 01:55
美香
あなたー!デートどうだった?

月曜日、早速美香がやってきた。
あなた

うん!めっちゃ楽しかった!

美香
ほんと?ダンススタジオが?
あなた

うん!智ね、ほんとかっこよかった!

美香
とも!?
あなた

うん!神ちゃん!て呼んだらお仕置きされちゃうんだ〜♪

美香
なんか嬉しそうなんですけど!
お仕置きねぇ…どんなお仕置きなんだろ。そっちの方が気になるわ…
あなた

あのね、好きな食べ物と、
好きなジュースが同じだったの!

美香
なになに?
あなた

唐揚げとメロンソーダ!

美香
へぇー…その組み合わせならいっぱいいるよねー。
あなた

ひどい…美香…

美香
で、あとどこいったの?
あなた

スタジオ行って…
それがね、3時間もいたんだよ!

美香
嘘でしょ…
あなた

でもね、集中して踊ってる顔とか、
教えてる先生みたいな顔とか、
すっごくかっこよくて、
あっという間だった!

美香
へぇー
あなた

で、汗かいたらから着替え買って、
定食屋さんで唐揚げ食べて…

美香
定食!?唐揚げ!?
あなた

で、カラオケ3時間歌って帰ってきた!

美香
カラオケ…
あなた

だって聞きたかったんだもん!

美香
そーなんだ…
素敵な初デートでしたね。。
あなた

うん!!

美香
あれよね、
今は脳内お花畑なんでしょうね〜。
あなた

うん!!!
あなたって呼んでくれた時なんか、
めっちゃドキドキしたよぉ…
あーもうめっちゃ好き!どうしよ…

美香
うん…是非、本人に言ってあげて…
こんな気持ちは初めてで。


世界がピンク色に見えて、


恋って最高って思った。


それから、週1で会うようになって。


私には門限があるから、


智がうちの方に来てくれて。


いつもの公園でおしゃべりする。


ただそれだけだったけど、


それがすごく楽しみで、


勉強もすっごく頑張れた。
あなた

いつも来てもらっちゃってごめんね。

智
ええよ!俺が会いたいんやから。
あなた

でも…遠いよね…

智
そんな事、気にせんでええで。
乗り換えも一回やし。
あなた

今度は私が行くよ!

智
それはあかん!
あなた

なんで?

智
2人の時間が少なくなる。
あなた

智…本当に私の事好きだね!

智
大好きやで!
あなた

ずっと?

智
おん…ずっと!
あなた

なんかさ、他のカップルはさ、
別れると会わなくなって、
話さなくなって、
他人みたいになったりするじゃん?

智
そやなぁ。
あなた

でも、付き合いたては、
こんな風にラブラブだったわけじゃん?

智
そやなぁ。
あなた

私、考えらんないんだ。
智ともし別れる事になったらって。

智
そんな事考えてるん?
あなた

うん…勝手に想像して悲しんでる…

智
そっか…別れたらか…
あなた

悲しくなるでしょ?

智
いや、ならんな。
あなた

えっ!?

智
想像できひん。
あなた

じゃ、おっきな地震とかあって、
携帯とか使えなくなっちゃって、
連絡取れなかったらどうする?

智
んー、どないするやろ…んー…
あなた

………

腕を組み、上を見ながら、


考えてる…


ぶつぶつと…


独り言を言いながら…


どないするやろ…


真剣に、


とても真剣に、


考えてる…


………


………


あっ!?!?!?


もしかして、これが噂の山籠り?笑


初デートの時も、


こんな風に、


考えてくれてたのかな…


そう思ったら、


すっごく愛おしく思えて。


答えが出るまで、


ずぅーっと黙って、


待ってよって思えた。
智
あーどないするやろ…
そん時は、どこにおる?笑
あなた

どこに!?どこにだろ…
あっ!じゃさ、そんな時の為に、
約束しとこ!

智
約束?
あなた

例えば、誕生日とか!
どちらかの誕生日、
ここで待ち合わせするの!どう?
それが、1年後でも、2年後でも、
誕生日にここに来れば会えるじゃん?

智
んー誕生日やったら忘れんしな。
せやけど、1年後なんか待てへんで。
あなた

ええっ!?

智
1週間でもギリギリやのに。
あなた

うふふ…確かに…

智
死んでまうわ。
あなた

ほら、でも、万が一って事でね。

智
そやな!
俺の誕生日は7月1日やで。
あなたの誕生日は?
あなた

6月6日!

智
覚えやす!よし!6月6日にしよ!
場所はここやで。
あなた

うん!約束ね。

普通に考えたらありえない約束だけど、


指切りをした。


智には、ずっと私の事を覚えていてほしかった。


もし、もしも、絶対ないと思うけど、


別れて、他人になったとしても、


6月6日になったら、


私の事を思い出してほしかった。







あの頃の私は純粋で…
あなた

必死だったなぁ〜

大好きで、大切で、


ずっとずっと側にいたかった。


だけどあの時、


あの時どうして、


私は離れたんだろう…


離れてしまったんだろう…


後悔するってわかってたのに…




美香
あなた、ちょっと話があるんだけど…
秋から冬に向かう頃、


美香が深刻な顔をしてやってきた。
美香
あのね、あゆみがね、
彼氏と別れたんだって。
あなた

えっ?

美香
拓巳から聞いたんだけど、
またね、神ちゃんへ連絡してるみたいなんだ。
会ったりはしてないみたいだけど。
あなた

そっか…

もしかしてこないだ会えなくなったのって…


あゆみさんと会ってた…?
美香
気にしなくてもいいと思うけど。
なんかごめん…心配するよね。
でも、隠してるのも嫌で…
あなた

ううん!教えてくれてありがと!
私なら大丈夫だよ!
智から聞くまで何も知らないふりするし!
ほら、あゆみさん?友達でしょ?
まぁ、ちょっとはヤキモチ焼いちゃうけど、大丈夫!

まるで、


自分に言い聞かせるように…


大丈夫、大丈夫。


私は智を信じてるし、


あの人はただの友達。


何も心配ない。
美香
うん!神ちゃんて優しいけど、
そーゆー所はしっかりしてそうだし!
心配する事はないか!
あなた

うん!
美香、ありがとね!

なんだろ…


大丈夫って思うほど、


大丈夫じゃなくなる感情。


智に会いたくなった…

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