第7話

神山智洋
1,126
2021/06/23 05:37
美香
ねぇ!せっかくだからさ、まだ時間もあるし、あなたたち2人で遊園地まわったら?ねぇ、拓巳。
拓巳
そうだよ!俺らは俺らで適当に遊んでるし!
みんなが2人きりにしてくれた。


遊園地の閉園時間まで、まだ時間があって。


とりあえず、散歩する事にした。
神ちゃん
神ちゃん
ごめんなぁ…
突然びっくりしたやろ?
あなた

うん…びっくりした。

神ちゃん
神ちゃん
なんか、言いたくなってん…
あなた

みんなの前で?笑

神ちゃん
神ちゃん
あん時は周り見えへんかった。
あなた

えっ!?

神ちゃん
神ちゃん
自分でも驚いてるわ。
あなた

私は…嬉しかったよ。

神ちゃん
神ちゃん
ほんま?
あなた

うん!

神ちゃん
神ちゃん
なぁ、これ見て。
あなた

ん?

手のひらの上に、ビー玉が…
あなた

えっ!?待って!私も持ってるよ!ほら!

神ちゃん
神ちゃん
これな、花火大会であなたちゃんを送って戻ったらな、シートに転がっててん。
みんなに聞いたら、みんなちゃんと持ってたからあなたちゃんのやなって。
あなた

持っててくれたの?

神ちゃん
神ちゃん
今日会うたら渡そうと思ってな。
あなた

ありがと!じゃ、交換する?

神ちゃん
神ちゃん
いや、これは俺が持っとくから、
そっちはあなたちゃんが持ってて。
あなた

うん…
じゃ、神ちゃんだと思って大事にする!

神ちゃん
神ちゃん
ありがとう!俺も、大事にするで。
ほんと、綺麗やなぁ…
2人でビー玉を見つめる。


なんて事ない普通のビー玉だけど、


こんなに綺麗に見えるのは、


きっと好きな人からもらったからだよね!
神ちゃん
神ちゃん
手、つなごか?
あなた

うん…あっ待って!ごしごし…

神ちゃん
神ちゃん
手汗?笑
あなた

うん!

神ちゃん
神ちゃん
ええって!気にせんで。
そう言って私の手を取る。


神ちゃんの手は大きくてあっかくて。


ギュッとされると、


なんだろ…


安心する…


お化け屋敷の時もそうだった。


安心したから、ついて行けたんだ。
あなた

今日は色々あったね。

神ちゃん
神ちゃん
俺な、ほんまに高いとこあかんねん。
ジェットコースター怖かったわ…
お化け屋敷もやけど…
あなた

すごいね!2つも克服できたね!笑

神ちゃん
神ちゃん
いや、克服はしてへんで。
もう乗らへんし絶対行かへん。
あなた

でもほら、ここにお守りがあるよ!

神ちゃん
神ちゃん
うん!それでも行かへん!
あなた

あはは!

神ちゃん
神ちゃん
あなたちゃんは?
乗る?
あなた

ん…神ちゃんとだったら、乗る!

神ちゃん
神ちゃん
じゃ、これからはないな!笑
あなた

そうなの!?笑

神ちゃん
神ちゃん
そや!絶対乗らんで!
あなた

あはは!

広場の端にあるベンチに座る。


目の前には時計があって。


もう6時を過ぎていて。


明るいけど、みんな帰る方向へ向かっていて。


さっきまで子供たち声で賑やかだった遊園地が、


だんだんだんだん静かになって。


私たちも、もうすぐさよならだと思うと、


寂しい気持ちでいっぱいになる。
神ちゃん
神ちゃん
今日の門限は?
あなた

9時かな。

神ちゃん
神ちゃん
ここからだとどのくらい?
あなた

1時間くらい?

神ちゃん
神ちゃん
送って行ってもえ?
あなた

えっ!?いいよ!
だって神ちゃん家、こっからすぐでしょ?

神ちゃん
神ちゃん
送って行きたいねん。
少しでも一緒にな。
あなた

うん…ありがと…

神ちゃん
神ちゃん
あのさ、こんな事聞くのあれやねんけど、なんで付き合ってくれたん?俺と。
あなた

えっ!?あっ、ん…好きだから、かな…

神ちゃん
神ちゃん
まだ2回しか会うてないのに?
あなた

そうなんだよね…
だから最初はね、吊り橋効果かな?って思っちゃって。
怖い所行ってのドキドキを勘違いしちゃってみたいな?

神ちゃん
神ちゃん
おん…
あなた

でもね、どっかでこのドキドキは違うって気づいてね。

神ちゃん
神ちゃん
おん…
あなた

ほら!あの、お弁当買いに行こうって繋がれた時かな?すっごくドキッとして、

神ちゃん
神ちゃん
………
あなた

スライダーで並んでる時、あっ、私多分、神ちゃんの事好きかもって…

神ちゃん
神ちゃん
じゃ、まだわからへんねんな。
あなた

えっ?

神ちゃん
神ちゃん
多分、なんやろ?
あなた

あっ!ううん!違う!そういう意味じゃなくて、、なんて言ったらいんだろ…えっと…

神ちゃん
神ちゃん
なぁ…
あなた

えっ…

神ちゃん
神ちゃん
キスしてもえ?
神ちゃんは、


私の返事を聞く間もなく、


キスをした。


突然のことで驚き、


目が開いたままになっちゃって。


その顔を見て微笑む神ちゃん。


恥ずかしくて顔を両手で隠すと、
神ちゃん
神ちゃん
ちゃんと見せて。
と、私の手をとる。


そして、私の頬にそっと手をおくと、


もう一度、優しくキスをした。


神ちゃんの優しい手に包まれながら、


神ちゃんの柔らかい唇が心地よくて、


私の目はいつの間にか閉じていった。


そして遊園地のBGMがちょうど切れた時、


一瞬無音になった遊園地で、
神ちゃん
神ちゃん
ちゃんと、好きになってくれた?
心臓がドクドクしてきて…


身体が熱くなってきて、


もう神ちゃんしか見れなくなって。


恋に落ちるって、


きっとこういう事をいうんだ。
あなた

うん…好き…

すると後ろから、
まっつん
ひゅー
美香
ひゅうひゅうー
拓巳
ひゅーひゅーひゅーひゅー
きぃ君
いいもの見れたわ〜
と、みんながやってきて。
神ちゃん
神ちゃん
見てたんかい!
すごく恥ずかしそうな神ちゃん。


美香が、こそこそっとやって来て、
美香
あなた、よかったね!
ダブルデートしようね!
と、小さな声で言った。
あなた

うん!やばい…すごく幸せ…

同じく小さな声で伝えると、
美香
ねぇねぇ、みんな!
あなたが幸せだってー!
のろけ、いただきましたー!
あなた

ちょっとー!!美香!!

神ちゃん
神ちゃん
俺も幸せやで!
拓巳
じゃ、俺も!
美香
私もー!
きぃ君
俺も幸せになりてー!
まっつん
俺も彼女つくりてぇー!!
みんなで笑って。
美香
じゃ、最後に乗ってく?
あなた

ん?

美香
ジェットコースター!!
という事で、


私と神ちゃん以外が乗ることに。


私たちはコースターが出てくるとこで、


いってらっしゃーい!と見送る事に。
神ちゃん
神ちゃん
本当に乗らなくてよかったん?
あなた

うん!ここで神ちゃんといる方がいい!

神ちゃん
神ちゃん
なんやて!かわえー!ぎゅー!
めっちゃ抱きしめられる。


すると、ちょうど美香達の乗ったコースターが!
美香
見てあれ!ラブラブすぎでしょ!!
拓巳
こらー!
きぃ君
あつくるしいぞー
まっつん
うらやましいぞー
あなた

いってらっしゃーい!

神ちゃん
神ちゃん
がんばってなー
その後、4人の叫び声が…
神ちゃん
神ちゃん
じゃ、帰ろっか!
あなた

えっ!待ってなくていいの?

神ちゃん
神ちゃん
ええのええの!行こ!
手を繋いで、走って遊園地をでた。


少ししてから拓巳君から電話が来て。


なんで先に帰るんだーって怒ってたけど、


美香からメールがきて、


“お幸せにー!また遊ぼうねー”っと。


帰りのゴンドラの中、


私はずっと聞きたかったことがあった。
あなた

いつから私の事好きになったの?

神ちゃんは私の頭を撫でながら、
神ちゃん
神ちゃん
そやな…
ビー玉をあげた時、宝物にするね!って言った顔がかわいくてな。
見つけたビー玉も渡さなって思て、今度いつ会えるんやろ〜とか、どうやって渡したらビックリするかな〜とか、もういらへんかったりして…とか、いろいろずっと考えとってん。
そしたらな、あなたちゃんが頭から離れんようになって。
あなた

うん…

神ちゃん
神ちゃん
今日会ったら、すごく緊張してな。
あなた

そうなの?笑

神ちゃん
神ちゃん
どこで渡そう…って思ってたら、あなたちゃんがあんなとこでビー玉出すやろ?
えっ!?なんで?ってびっくりしたわ!
あなた

あはは!笑
そうだったんだ!
でも、ジェットコースター、嫌いなのによく乗ったね。

神ちゃん
神ちゃん
いや、俺が乗らんて言ったら、きぃ君が乗る!ってなるやろ?
あなたの隣にきぃ君が乗ると思ったら嫌やってん。だから、頑張った!
あなた

そうだったの!?笑
やばい…嬉しくてニヤけちゃう…

神ちゃん
神ちゃん
あはは!俺も恥ずかしいわ。
あなた

うふふ…

神ちゃん
神ちゃん
やから、花火大会の日からずっと好きやったんかもなぁ。
ずっとあなたちゃんの事しか考えられへんかった。
あなた

じゃ、ビー玉のおかげだね。

帰りのゴンドラの中も、


送ってもらってる電車の中も、


ずっと手を繋いでた。


繋いでない方の手には


ビー玉を握って。


お願いしていた。


この幸せが、


ずっと、続きますように…

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