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第1話

神山智洋
1,822
2021/06/28 10:03
たまたま点けたテレビ。


たまたまやってたドラマ。


たまたま流れたエンディング。


『ずっと ずっと ずっと 恋をして…いた…』



恋か…


あの日の記憶が蘇る。


もうきっと忘れてるよね…


28歳の誕生日。


導かれるようにここへ来て、


ビー玉をみつめながら、


あの頃の事を思い出していた。





〜高2の夏〜
美香
ねぇ、今度うちの地元で花火大会があるんだけど、一緒に行かない?
あなた

花火大会!?

美香
地元の友達も行くんだけど、女1人になっちゃって。
あなた

いいの?

美香
来て来て!彼氏も紹介するよ!
あなた

彼氏!?じゃ、彼氏と行きなよ!

美香
いや、毎年ね、花火大会はみんなで行くの。
彼氏の友達もね。って言っても、私もよく知ってる人たちなんだけど。
あなた

じゃ〜行こうかな!

美香
私浴衣着るけど、あなたどうする?
あなた

浴衣か…着てく!

美香
よし!夏休みだけど、いろいろ決まったら連絡するね!
夏休みに入ってすぐ、美香からメールがきて。


お母さんと浴衣を買いに行く。


浴衣なんか、小学生ぶりで。
  

花火大会へ行くのも、それぐらいだ。


なんだかもうワクワクする!


でも、知らない人もいるんだよね…


緊張するな…


うまく話せるかな…


迎えた花火大会の朝。


楽しみすぎて、早く起きちゃって。


時間が経つのが遅くって。


何度も何度も時計を見る。


早く夕方にならないかな…


ちょっと早いけど、メイクして、髪を結って。


そしてお昼過ぎごろ、美香からメールがくる。


“4時に虹ヶ丘駅で!”


よしっ!浴衣着て出発だ!


虹ヶ丘駅。


緊張しながら待っていると、
美香
あなたー!
美香の声。


でも沢山の人で、どこにいるかわからず…


すると、
神ちゃん
神ちゃん
こっちやで!
知らない人だったので、すぐにはついて行けず…
あなた

わたし…ですか?

神ちゃん
神ちゃん
そや!美香の友達やろ?こっちきて!
後ろをついていくと、
美香
あなたー!こっちー!
行列に並んでる美香がいて。
美香
焼き鳥食べたくて、並んじゃった!
ここの美味しいんだよー
あっ、こちらは神ちゃん!
神ちゃん
神ちゃん
どうも。
じゃ、俺拓巳んとこ行くわ。
美香
了解!ありがと!
神ちゃんはそう言うと人混みの中へ。
美香
あとね、彼氏と、もう2人くるよ。
今みんなそのへん買出し行ってる!
あなた

じゃ、私もなんか買ってこうかな!

美香
いいよ!人多いし、一緒にいよ!
あなた

そだね。
それにしてもすごい人だね…

美香
毎年すごいよ!
でもね、こちらは地元ですから、
朝イチでいい席取ってあるよ!
あなた

ほんと!?めっちゃ楽しみ!

美香
てかさ、浴衣いいじゃん!
めちゃくちゃ似合ってる!
あなた

ほんと!?うれしー!!
美香もかわいいよ!
なんだろ…ちゃんと女の子に見える!

美香
えっ!?どゆ意味?
夏休み、


こんな風に遊べるのはないと思ってた。


塾ばっかで、勉強だけで終わると思ってた。


誘ってくれた美香に感謝だ。


会場まで歩いた。


河川敷にシートが敷き詰められていて。
美香
おっ、あれかな?いたいた!
美香が小走りになって。
美香
お待たせー!ジャーン!
友達のあなたでーす!
ほら拓巳!みんなの自己紹介して!
拓巳
ども!彼氏の拓巳です!
で、まっつん、きぃ君で、神ちゃん。
あなた

あの、あなたです!
よろしくお願いします!

深々と頭を下げてしまう…
神ちゃん
神ちゃん
真面目やな!ほら、座り!
美香
神ちゃん、やっさしー!
あなた

関西の人ですか?

神ちゃん
神ちゃん
小学校まであっちにおったわ。
美香
私と拓巳とまっつんときぃ君は小学校からで、神ちゃんは中学からだよね。
あっ、ちなみに、私とまっつんは幼稚園から…ねっ!
まっつん
親同士も仲いんだよ…
こないだお前んとこの母ちゃん、でっけぇ声で呼ぶからマジで恥ずかしかったわ。
きぃ君
美香ん家の、母ちゃんやべぇもんな。
拓巳
マジでやばい!
美香
お前が言うな!
まっつん
ところで、あなたちゃんは彼氏とかいるんですか?
美香
敬語…
まっつん
いや、最初はね…
美香
タメだから普通に話せば?
あなた

うん、敬語じゃなくても大丈夫ですよ!

美香
あなたも敬語…
あなた

あっ!ほんとだ!笑

美香
全然気使わなくていいからね!
あっ、そうだ!
まだ時間あるし屋台行ってみようよ!
拓巳
そだな!俺じゃがバタ食いてー!
まっつん
俺はたこ焼きと焼きそばと…
きぃ君
食いすぎだろ!また太るぞ!
神ちゃん
神ちゃん
俺待ってるから行ってきてええで。
美香
本当!?ありがとー!行こ、あなた!
あなた

うん!あの、じゃ、宜しくお願いします!

神ちゃん
神ちゃん
おう!
あなた

行ってきます!

神ちゃん
神ちゃん
はーい!
拓巳
なんかいる?
神ちゃん
神ちゃん
ええわ!あとで行くわ。
神ちゃんを置いてみんなで屋台へ。


河川敷にはサイクリングロードがあって、


それ沿いにズラーっと屋台が並んでいる。
美香
すごいよね!
これだけでテンションあがる!
あなた何食べる?
あなた

お腹は空いてないから…
喉乾いたし、ラムネでも買おうかな!

美香
あれ?飲み物いっぱい買ってたよね?
拓巳
買ってあるよ!
あっ、でもラムネはねぇな。
美香
ラムネ好きなの?
あなた

うん!こうゆう時にしか飲めないから。

美香
確かに、それわかる!
あなた

美香は?何買う?

美香
拓巳とじゃがバタ行ってくるわ。
まっつん
俺は…焼きそば行ってくる!
きぃ君
俺は…色々見てくるわ。
美香
じゃ、買ったらシートねー!
せっかくだからみんなの分も買っとこ!


6本のラムネをぶら下げてシートへ。


シートには神ちゃん1人…


まだ誰も戻ってきていないようだ。


なんか2人って気まずいよね…


引き返そうとしたとき、


神ちゃんがこっちを向いて。


目があった気がする…


と言う事で、引き返せなくなりました…


とりあえずシートへ向かう。


神ちゃんは、誰かと電話で話してて。


私に、座っていいよとジェスチャーした。


おじゃまします…
神ちゃん
神ちゃん
こんの?
神ちゃん
神ちゃん
くればええやん。
神ちゃん
神ちゃん
迎えに行くで。
かすかにだけど、向こうの声が聞こえて。


女の人だ。
神ちゃん
神ちゃん
わかった…じゃまたな。
目があって、


とりあえず軽く会釈した。


すると、神ちゃんも同じように会釈して…


シーン…


気まずすぎる…


とりあえず、なんか話さなきゃ…


と言う事で出たのが、
あなた

もしかして、今の彼女さんですか?

すると神ちゃんは、


携帯画面を見ながら、


なんだか冷たい感じで、
神ちゃん
神ちゃん
ちゃうで。
と言った…


えっ!?なんかまずい事聞いたかな…


どしよ…


他に何かある?


話題…話題…


頭をフル回転させてると、
神ちゃん
神ちゃん
みんな遅いなぁ。
と、話しかけてくれた。
あなた

あっ、なんか結構並んでるみたいでしたよ。

神ちゃん
神ちゃん
人多いもんなぁ。
あなた

あの、よかったら私ここいるんで、
行ってきてください。

神ちゃん
神ちゃん
敬語笑 ええでタメ口で。
あなた

そうだった…ですよね…

神ちゃん
神ちゃん
ほらまた!笑
あなた

じゃぁ〜…行ってきてもいい…よ?

神ちゃん
神ちゃん
俺な、人混み苦手やねん。
あなた

あっ、そうなんです…いや、そうなの?
確かに多いよね…多い、多い!

神ちゃん
神ちゃん
あはは!無理せんで!
あっ!ラムネやん!
あなた

好きですか?よかったらどうぞ!
みんなの分買ってきたから。

神ちゃん
神ちゃん
ほんま!?ありがとう!
これが神ちゃんとの出会い。


この時の私は、まだ知らない。


この人が私にとって、


とても大切な存在になるなんて…


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