第2話

高津くんと取り巻く環境と、私。
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2018/08/24 18:39
 高津くんが野球部の控えエースとして頭角を現し始めたのは、南高に入学して直ぐのことだった。
 彗星の如く現れた次世代エースにはたくさんの熱いまなざしや黄色い声援が集中し、高津くんの人気は甲子園の県予選が近づくに連れて、更に加速し続ける。

 そんなみんなの期待を一身に背負ったエースである高津くんとは対照的に、私・武田里英(たけだ・りえ)は何をやっても光るとこなしの残念ガール。
 体力テストをすれば、全て平均以下。テストを受ければ欠点ギリギリ。

 みんなを夢の世界に連れていくことの出来る類い稀なる才能を持った高津くんは、私にとっては生きている世界が違う人。
 私だって、そこまで身の程知らずの向こう見ずという訳ではない。

 特別、嫌うこともないけれど。特別、愛想を振りまくこともしない。
 自分の立場を弁えて、必要以上に高瀬くんに近づくつもりも更々ないが、敢えて、高津くんの気分を害することをしたいとも思わない。
 ちゃんとそこは空気を読んで、クラスメイトとはいえど付かず離れず。適度な距離をキチンと保つ。

 それで、キチンと私の学校生活キチンと平和に回っていたはずなのに……。




 高校2年生の初夏。
桜先輩
ちょっと、武田さん。マネージャーとかいう訳でもないくせに、何で球場なんかに来てるの?
武田里英
……え、と

 甲子園出場を賭けた県予選。
 その1回戦を見るために、球場に足を運んだ私は一番会いたくなかった集団に遭遇する。


 この出逢いが全てが狂っていく転機になるなんて、その時はまだ知る由もなかった。

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