珍しく8:00頃起きた僕は、例の海水浴場へ行ってみた。
けれど、泳ぎに来た人がパラパラいるだけで雲の姿は見えなかった。仕方なく近くの公園へ行って少し写真を撮って帰った。
彼女の顔が見たいのもあり、涼しくなる夕方位に海水浴場へまた行って見ることにした。
朝、10:00頃行ったときよりは人は少なくなっていた。
白を探せばすぐ近くの木下でいる雲の後ろ姿を見つけた。雲は下を向いて何かしているらしい。近くへ行ってみれば、デジタルカメラを手に持っていた。
そう言って雲は、いろんな写真を見せてくれた。ショーケースの中のケーキ、道路標識、女の子の服を着たマネキン、言い争って喧嘩してる人、海、お世辞にも上手く取れてなくて、ブレているのも……いろんな写真があった。
これはきっと雲が面白いとか可愛いとか思ったのを撮ったんだろうな。
そのまま雲は走ってどこかへ行ってしまった。一瞬の出来事で頭が付いていかない。
手にのせられた、雲から預かったデジカメとその付属品をぼんやりと眺めた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!