第14話

第12話
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2018/08/24 03:50
珍しく8:00頃起きた僕は、例の海水浴場へ行ってみた。
けれど、泳ぎに来た人がパラパラいるだけで雲の姿は見えなかった。仕方なく近くの公園へ行って少し写真を撮って帰った。
翔野 英介
この前心配させてしまったばかりなのに、また心配させてしまってるかもしれないな……。
彼女の顔が見たいのもあり、涼しくなる夕方位に海水浴場へまた行って見ることにした。

朝、10:00頃行ったときよりは人は少なくなっていた。

白を探せばすぐ近くの木下でいる雲の後ろ姿を見つけた。雲は下を向いて何かしているらしい。近くへ行ってみれば、デジタルカメラを手に持っていた。
翔野 英介
ど、どうも、雲。朝行けなくてごめん。
寝坊してしまって。
……あっ英介くん。また風邪でも引いたのかと思ったよ。
翔野 英介
僕でも流石にそんな何回も風邪引かないよ!……それよりデジカメどうしたんだ?
ん?あ、これね英介くんが持ってたカメラに憧れて買ったの。写真ってほんとに素敵だね。思い出を、時間を止めて保存出来るんだもん。ほら少し撮ってみたんだ。
そう言って雲は、いろんな写真を見せてくれた。ショーケースの中のケーキ、道路標識、女の子の服を着たマネキン、言い争って喧嘩してる人、海、お世辞にも上手く取れてなくて、ブレているのも……いろんな写真があった。

これはきっと雲が面白いとか可愛いとか思ったのを撮ったんだろうな。
翔野 英介
カメラを楽しんでもらえてるようで良かった。撮った写真の中で、雲が1番気に入っている写真はどれ?
うーーん。これかな?
翔野 英介
えっと、これは……川?
うん、川の写真!自分が流れている時は早くて分からないし、上から見ていても小さく見えるから何も思わなかったのに、こうやって近くで見てみたら、大きくてずっと見えない向こうからこちらの海の方へ流れているの!
周りにある草や岩、かかる橋が凄いな、素敵だなって思ったんだ。
翔野 英介
へえ……水から見たこの風景は、そう見え……
わっ!
翔野 英介
!?
大変!日が沈んじゃう!手出して!
このデジカメとか預かってて!

私、水に戻っちゃうから!じゃあまた明日ね!
そのまま雲は走ってどこかへ行ってしまった。一瞬の出来事で頭が付いていかない。
翔野 英介
(あ、そういえば日が沈んだら帰るって言ってたからか……。)
手にのせられた、雲から預かったデジカメとその付属品をぼんやりと眺めた。
翔野 英介
(ちゃんと充電して、明日も使えるようにしとかないとな。)

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