第9話

第8話
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2018/08/24 01:33
海の日から2日後の朝。雲さんに出会った海水浴場に行ってみた。駐車場から海につながる道を降りていくと、彼女が砂に寝っ転がっているのを見つけた。

彼女の方へ歩いていくと、足音に気づいたようで、起き上がりこちらを見た。そして、嬉しそうに笑った。
あ、この前の!来てくれたんですね。ありがとうございます。
翔野 英介
いや、暇だったんで。ところで、人間の世界楽しめてますか?
そう聞きながら僕は、彼女の隣に座る事にした。
楽しいです、面白いです!

でも、1人なのでたまに寂しいです。
翔野 英介
そう、ですか……。
ちらっと彼女を見る。今日彼女が着ているワンピースは水色だ。一昨日、裸足だったのを思い出し足元を見ると、ちゃんとサンダルを履いていた。
翔野 英介
あ、雲さん。サンダル買ったんですね?
そうなんです。ちゃんと買えました!店員さんに勧めてもらって買っちゃいました。

……あ、そうだ。貴方のお名前まだ聞いてませんでした。なんてお呼びしたらいいですか?
翔野 英介
あ、すみません。自己紹介してませんでしたね。僕は翔野英介です。
どう呼んでもらってもかまいません。
分かりまし。……じゃあ翔野さん。
翔野 英介
は、はい!
さっそくで悪いのですが、翔野さん頼みたい事があるんです。
翔野 英介
は、い。
私に人間の事、何でもいいので毎日少しずつ教えてくれませんか?
翔野 英介
……も、もちろん!良いですよ。
こうしていきなりの頼みだったが、僕は雲さんに毎朝海水浴場に出かけ、30分位いろいろ僕らの生活の事を話して教えてあげることになったのだ。嬉しそうに聞いてくれては、気になった事は質問をしてきてくれた。




数日経った頃には僕らは打ち解けて敬語が減り、お互いの呼び方も、雲さんから雲へ。翔野さんから英介くんへ変わっていった。雑談も沢山した。平和で温かい時間だった。

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