海の日から2日後の朝。雲さんに出会った海水浴場に行ってみた。駐車場から海につながる道を降りていくと、彼女が砂に寝っ転がっているのを見つけた。
彼女の方へ歩いていくと、足音に気づいたようで、起き上がりこちらを見た。そして、嬉しそうに笑った。
そう聞きながら僕は、彼女の隣に座る事にした。
ちらっと彼女を見る。今日彼女が着ているワンピースは水色だ。一昨日、裸足だったのを思い出し足元を見ると、ちゃんとサンダルを履いていた。
こうしていきなりの頼みだったが、僕は雲さんに毎朝海水浴場に出かけ、30分位いろいろ僕らの生活の事を話して教えてあげることになったのだ。嬉しそうに聞いてくれては、気になった事は質問をしてきてくれた。
数日経った頃には僕らは打ち解けて敬語が減り、お互いの呼び方も、雲さんから雲へ。翔野さんから英介くんへ変わっていった。雑談も沢山した。平和で温かい時間だった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。