ザクッ ザクッ
空から降り立った人は、足踏みをしたり、砂を蹴ってみたりしている。こちらには気付いていないようだ。
白いワンピースを着た人は女の子で、自分と同じ位の年に見えた。ちらっと見えた顔はいわゆる美少女。髪は短めで白くてふわふわ。あの屋台等で売っている、白くて甘いふわふわの綿菓子を連想させた。
海が朝日に照らされキラキラ輝く中、その女の子が砂浜に立つその風景はとても綺麗で、思わずカメラを構えシャッターを切ってしまった。しばらく彼女から目が離せず固まって動けないで居ると、彼女がこちらに気付いた。びっくりした顔をした後、パァっと笑顔になりこちらに走ってきた。
え……?凄い?人間が??
ハテナが浮かびまくっている僕をよそに、彼女はにこにこ嬉しそうに僕をじーっと上から下まで見はじめた。それに気付いた僕は、恥ずかしくて彼女を見ることができず、ずっと遠くを見ていた。
顔が熱くなるのを感じた。だから顔が真っ赤になっていたんだろう、それを見た彼女はぺこりと頭をさげ謝りだした。
頭をあげた彼女と目があった。さっきは遠くて分からなかったが、彼女の目は透き通るような水色をしていた。人間の姿はしているものの、突然空から降りてきた女の子だ。別世界の生き物だと思わずには居られなかった。だから聞いてしまった。
すっと指さされたのは、空に浮かぶ白い……
理解が出来なくて、確認をするが、
と、彼女ははっきりと答えた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。