第3話

第3話
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2018/08/23 13:53
ザクッ ザクッ
わあ!これが砂浜の感触なのね!
空から降り立った人は、足踏みをしたり、砂を蹴ってみたりしている。こちらには気付いていないようだ。

白いワンピースを着た人は女の子で、自分と同じ位の年に見えた。ちらっと見えた顔はいわゆる美少女。髪は短めで白くてふわふわ。あの屋台等で売っている、白くて甘いふわふわの綿菓子を連想させた。

海が朝日に照らされキラキラ輝く中、その女の子が砂浜に立つその風景はとても綺麗で、思わずカメラを構えシャッターを切ってしまった。しばらく彼女から目が離せず固まって動けないで居ると、彼女がこちらに気付いた。びっくりした顔をした後、パァっと笑顔になりこちらに走ってきた。
すごい!人間だ!
え……?凄い?人間が??

ハテナが浮かびまくっている僕をよそに、彼女はにこにこ嬉しそうに僕をじーっと上から下まで見はじめた。それに気付いた僕は、恥ずかしくて彼女を見ることができず、ずっと遠くを見ていた。
翔野 英介
(この子、何してるんだ……?かなり恥ずかしいんだけど……。)
顔が熱くなるのを感じた。だから顔が真っ赤になっていたんだろう、それを見た彼女はぺこりと頭をさげ謝りだした。
あっ。すみません!いきなりじろじろ見てしまって……。
翔野 英介
い、いや、だ、大丈夫、です……。
頭をあげた彼女と目があった。さっきは遠くて分からなかったが、彼女の目は透き通るような水色をしていた。人間の姿はしているものの、突然空から降りてきた女の子だ。別世界の生き物だと思わずには居られなかった。だから聞いてしまった。
翔野 英介
あの、貴女が空から降りてきたのを見てしまったんですが、あなたは一体何者ですか?
あ、見られちゃってたんですね……。えっと信じてもらえないと思うんですが……私はあれです。あれ……
すっと指さされたのは、空に浮かぶ白い……
翔野 英介
えっと……。雲?
理解が出来なくて、確認をするが、
はい。そうです。雲です。
と、彼女ははっきりと答えた。

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