「どうしたの?リア。何か僕おかしいことでもいった?」
顔を覗かれながら颯爽とした笑顔を向けてくるロディ。私は少し顔をひきつらせながら答える。
「何でもないですわ。ロディがそれほど毒舌だなんて…少しだけ驚いてっしまっただけですわ。おきになさらず。」
そのまま表情を変えないがロディは意外みたいで、表情を驚いたような表情へ変えてもロディは落ち着いたトーンではなす。
「ふーん…そんなに意外だった?そんなに僕って真面目に見えた?」
私は元に表情を戻して話す。
「いえ、別にそんな意味ではないですが…気にしないでくださいまし」
「まあいいよ。ジェシカ王女が嫌いなのはみんな知っているだろうしね。別に何もおかしくないさ。」
いやいや本人は知らないよ…でもそんなに僕の事を嫌っているのであったらきっとロディが仲良くしてくれていることは虚像でしかない。僕の感情は本物なのにな…しかし彼はそんなことを考えていると微塵も知らないらしく無邪気な笑顔で僕に語りかける。
「まあね。それでさ、そんなことはどうでもいいんだ、そんなことよりほら、着いたよ。ここが僕のおすすめの場所なんだ。」
いきなり話を切られて少し顔をムーっとしながらも私は視線を横から前へと向けると、そこには信じられないような光景が広がっていた。
「ね?綺麗でしょう?君なら気に入ると思ったよ。」
そんな声など全く聞かずに僕は周りを見回していた。草花が生い茂って蝶が舞っている。川のせせらぎが聞こえて青い空に白い雲が綺麗に見える。
「ははっ。そんなに気に入ったかい?君は見るからに自然が好きそうだったからちょっと案内してみたんだ。」
「…自然が好きそうって何ですか…確かにそうですが」
「なんか雰囲気がふわふわしていたんだよね。いかにも自然だ~って感じ」
「そうですか」
僕はフワッと笑いかけるとロディの顔が少し赤くなる。何かあったのだろうか?
「ごめん、何でもないんだ。ちょっとね。」
「?とりあえず分かりましたわ。それじゃあ一緒に色々なところを見に行きませんか?」
「分かった!じゃあ行こう!」
彼と一緒に青空の下、駈け始める。だけど何かわすれているとような…まあいっか!…このときの私はそう、すっかり姉上の存在を忘れていたのであった…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。