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第7話

勇気
「卒業生、退場。」


降り続く雨の中、吹奏楽部の奏でる音色とたくさんの拍手に送られて体育館を出る。


先生、部活の後輩、お父さんお母さん。


今までありがとうございました。


あぁ、本当にこれで高校生活終わっちゃうんだな…


体育館を出た途端、涙が溢れた。


頑張ったこと。


辛かったこと。


楽しかったこと。


嬉しかったこと。


思い出が全部蘇ってきて、頭の中を流れる。


3年間、あっという間だったな。


特にこの1年。


2年生の卒業式の日、『来年はもう見送られる側なんだ』とか話してたっけ。


それがもうついこの前のことみたい。


もう1回、高校生やりたい。


もう1回、みんなと楽しい時間を共有したい。


まだやりたいことたくさんあるよ。


まだ離れたくないよ。


卒業したくなかったのに…。


時間は時に残酷で。


止められないから、別れがある。


「あなたーっ…」


「莉子っ」


教室に入ると先に戻っていた莉子が私に抱きついてきた。


「莉子ー、あなたーっ!」


美羽も加わる。


「さびしいよぉっ…」


「私もだよっ…」


莉子と美羽とは、3年間ほぼ毎日一緒にいた。


でももう、ずっとってわけにはいかない。


やっぱり寂しい。


だけど、最後だから。


最後くらいは、笑顔を見せ合おう。


そう思って、にっこり笑った。


美羽も莉子も笑って、それがなんかおかしくて…


作らなくても、自然に笑えた。


いつもの、今までの、私たちみたいに。





「ねぇ、あなた?」


落ち着いた頃、美羽が言った。


「ん?」


「結局どーするの?

佑輔とのこと。」


ドキッ。


「ごめんねっ、最後まで触れないでおこうと思ったんだけど…

やっぱ、あなたには後悔して欲しくないから…」


美羽…


「うん…

どうしようね…」


まだ曖昧に返しちゃう私。


優柔不断。


弱虫。


臆病者。


正直、迷ってるよ。


…ううん、迷ってた。


今まで“ダメ”、“無理”って諦めてた。


絶対届かないって。


伝えても意味無い。


この気持ちは、ずっと閉じ込めておいた方がいいって。


でも…


通う大学も違う。


私は春から離れたところで一人暮らし。


少なくとも普段顔を合わせることは一切なくなる。


…だったらいいじゃん。


振られたって、いいじゃん。


どうせ顔合わせないんだし。


惨めさは、きっと薄れる。


それより、何もせずにこのまま終わって、モヤモヤしたままの方が嫌。


美羽も言ってたみたいに、私も後悔したくない。


半分開き直ってでも、佑輔には伝えたい。


勇気を出して。


やっぱり私…


佑輔に告白する。