第4話

期待
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2018/03/03 09:52
《ねぇっ、合コンしないー??》


「・・・。」


合コン…?


眠いからかな…?


聞き間違い…?


ドサッとベットにダイブして美羽との電話を続ける。


《おーいっ、聞いてるー??》


「聞いてるけど、合コンって…

美羽、彼氏いるじゃん。」


そんな、いいの?


《へ?

今どき彼氏いても合コン行く人いるしー。》


えー…


本気?


《いや、そこはどーでもよくて、》


いやいやいやいや、どーでもよくないでしょ!!


《佑輔も来るよ。》


「えっ!?」


佑輔??


え、合コンって、もっと知らない人とやるもんじゃないの!?


《お、食いついたっ》


画面の奥から美羽の笑い声。


うぅ、悔しい。


《とりあえず、参加でいいよねっ!

18日、10時に駅待ち合わせ!

んじゃねっ!!》


ブチッ。


私が何も言わないうちに美羽ってば、電話切った。


ええええええ。


…なんか行くことになっちゃったし。


てか、明後日だし。


どーすんの!?










「え。」


「あ、おはよーあなた」


2月18日、10時五分前。


駅につくと、そう声をかけたのは広瀬千夏(ひろせちなつ)。


「お、おはよう、ちーちゃん…」


他にも、蘭奈、あずさ、ハッシー、坂井くん、堂本くん…


クラスメートばっか!!


「ちょ、美羽っ美羽っ!!」


「ん?

あなたおはー」


「あ、うんっ、おはよっ。

じゃなくてっ!!

どーゆーことっ!?」


私がガシッと肩をつかむと、美羽はとぼけた顔をした。


「どーゆーこと、ってどーゆーこと??」


「合コンとか言ってたじゃんっ!

明らかに違うよね!?」


みーんな知り合い!


これじゃクラス会じゃんっ!!


「あー、まぁ、『大学合格祝の会』だからね。」


え。


「んで、あなたにとっては合コン気分の方がいいかなー、みたいな?」


…。


騙された…。


「まーどっちでもいいじゃないのーっ!

狙いは佑輔なんだしっ!」


「ちょ、狙いって…」


なんか、ホントの合コンみたいじゃんっ!!


「まぁまぁ、楽しもーよっ!

いっぱい話せるチャンスだよ??」


「う、うん…」


「男子はー?

そろったー??」


そう言いながら美羽は離れていってしまった。


「はぁ…」


目の前にあったベンチに腰掛ける。


いっぱい話せるチャンス…


話しかける勇気すらない私に、“いっぱい”なんて無理だよ…。


「よっ!」


上から声が降ってきて見上げる。


「わっ…」


佑輔…


いつも急な登場…。


「なーにため息ついてんだよっ

あ、もしかして今日あんまり乗り気じゃなかった??」


そう言って佑輔は私の隣に座った。


ドキッ。


近いよ〜っ…


「ううんっ、全然!!」


ブンブンと横に手を振って否定。


そんなわけないじゃんっ!!


むしろ、佑輔と遊ぶ機会ができて嬉しいよっ!


…なんて、口にできないけど。


「いや、美羽から合コンだよって言われてたから…

なんか、拍子抜けしちゃって。」


んまぁ、ため息ついてたのはそれだけが理由じゃないけど。


間違ってはない。


「え、じゃああなた、合コン行くつもりだったの?」


「あ、まぁ…うん。」


軽い女だって思われちゃったかな…?


だって、佑輔も来るとか言うから。


佑輔がいないなら行くつもりなかった。


そんなことも言えない。


断じて。


「…あなた、今度誘われても絶対行くなよ。」


「えっ…」


トクンッ。


それは…なんで…?


変な期待しちゃうよ…?


「変な虫がいっぱいいるかんなー、絶対ダメだよ。」


ドキンッドキンッ。


「あ…う、ん…」


「…って、オレが口出せることじゃないよな、わり。」


ドキンッドキンッ。


私、今までで一番顔赤いかもしれない。

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