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第10話

エピローグ
普通に家から登下校すること。


学校までの道。


桜並木。


3年間使った部室。


授業受けて、友達と笑いあった教室。


…そして、告白した図書室。


もう、今日で最後。


私たちはグラウンドに出た。


誰もいない。


卒業生はみんな帰ったみたい。


「ねぇ。」


佑輔を見上げていう。


「ん?」


佑輔の切なそうな、優しい笑顔に涙がこぼれそうになる。


ダメダメっ。


泣いちゃダメ。


最後くらい、笑顔でいなきゃ。


「あそこまで、手、繋ご?」


あそこ、と校門を指さす。


ここからたったの50メートル。


次会えるのはいつだろう。


半年後?


1年後?


そんなの、分からない。


だから…


今日だけは、手を繋いで。


「ん。」


少し照れくさそうに手を差し出す佑輔。


「あなた、」


ゆっくり歩き出しながら佑輔が私の名前を呼ぶ。


「これから毎日、電話しよーな。」


トクンッ。


胸の音が鳴る。


嬉しい。


離れてても、出来ることはある。


「うんっ!」


「辛くなったら、1日に何回もかけてきていいから。

それから、長期休暇んときはデートしよ。

あ、旅行してもいいよなー…」


目が合って、ニカッと笑う。


佑輔…。


あえてポジティブな話しかしない。


会えなくなるのが寂しい、なんて。


ホントはもっと一緒にいたい、なんて。


そんなこと言ったら、離れられなくなる。


「っ…。」


「え、ちょ、あなた!?」


私を見て慌てふためく。


あーもう、ごめんね?


最後は笑顔で、って思ったばっかなのに。


次から次へと涙が出てくる。


「あなたーっ…

せっかくオレが悲しくならないように楽しい話してんのにー!」


うぅ…ごめんね?


分かってる、けど…。


「違うの、佑輔。

悲しいんじゃなくて…あ、いや、それもちょっとはあるけど…

嬉しかったから…嬉し涙。」


佑輔が、そーやって気を遣ってくれてること。


電話しよ、会おうって言ってくれること。


「ありがと。」


佑輔が私を想ってくれてること。


私もちゃんと、返さなきゃ。


笑ってお別れしなきゃ。


ゆっくり歩く、といっても限りはあるもので、校門まではあっという間。


「…じゃあ、ここまでだな。」


帰る方向が違う私たち。


「うんっ。」


そっと手が離れる。


「好きだよ、佑輔」


佑輔を見つめて言う。


直接伝えられるときに、ちゃんと言っとかないと。


「な、なんだよ急に…」


私の言葉に佑輔は目を丸くした。


そして、ふっと笑って言った。


「オレも、あなた大好き。」


ドキンッドキンッ。


別れを告げるように桜の花びらが風に乗って舞い散った。


「じゃ、またな!」


「うんっ。

じゃあねっ!」


お互い背中を向ける。


もう、振り返らない。


振り返ったら…


前に進めない。


さよなら、私の大好きな人。


またね。