うららかな日差しが降りそそぐ昼下がり。
巡回中、広場の木陰で気持ち良さそうに横たわる姿を見つけ、足を止めた。
今日は夜まで自由時間だから、何をして過ごそうと問題はない。
⋯しかし、
こんなに近付いても気付かないなんて。
夜に眠れていないのだろうか。
まさか猫の様に多くの睡眠時間が必要なのか。
あるいは夜行性なのか。
静かな寝息を立てる顔は、普段より幼く見える。
風が木々を揺らし、木漏れ日が揺蕩う。
少し肌寒くなってきた。
このままここで寝ていては、風邪をひくかもしれない。
いくら声をかけても起きる気配はなく、ステイサムはそっとクロノアの肩に手を伸ばした。
9番が身じろぐ様子に、慌てて手を引こうとしたが、叶わなかった。
ステイサムの右手は、クロノアの両手に捕らえられてしまった。
クロノアは無意識のまま、ステイサムの手を自分の首元へ誘導し、頬を擦り寄せる。
振り払うこともできるのにそうしないのは何故なのか。
手を掴まれ、困惑しつつも、9番の寝顔に癒される。
起きたら気まずいどころじゃない。
意趣返しのつもりで首をくすぐると、9番は気持ち良さそうに、喉を鳴らした。
それから。
これでもか、という程に首をくすぐって頭を撫でると、満足したのか、或いはもう嫌になったのか、あっさりと手を離してくれた。
疲労感はあるが、不思議と嫌な気分ではない。
すやすやと眠る9番の顔を眺めながら、偶にはこういうのも悪くないかもしれない、と思った。
今日終わらせる筈だった、机に積み上がった書類については、今は考えないことにして。
終












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。