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第7話

ありえない
兄の方が急いで寝転んでいる母に駆け寄った。それを追うように彼女も駆け寄った。僕はどうしていいかわからず、あってないような玄関に立っていた。家の中が嫌にでも目に入る。くたびれたいくつもの布。使い古された食器。いつのものかわからない幾つかの家具。そして使われていない写真立て。僕はまた目を瞑りたくなった。階級社会というものがここまでとは想像していなかった。所詮、教科書に書いてあるものは文字の羅列で事実でも真実でもなんでもない。それに気が付かされた。僕の気づきなどどうでもいいと言わんばりに妹の方が泣き出してしまった。何度聞いてもなんといっているかはわからない。自分の表情には現れないが少女が何を思うかくらいは察しがつく。僕は少女に近寄りそっと頭を撫でる。なるべく丁寧に。僕は小さな女の子を撫でたことが今までになかった。しかし髪質がここまで悪い女の子は日本にはいないだろう。これは少女に失礼かもしれない。でも僕には生まれた場所が違うだけで何故こんなに扱いが違うのかがわからなかった。少女を撫でるたびに僕の中にそんな思いが渦巻く。しばらくそうしていた。