無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第11話

10崩壊ー“精神異常者”と映らない“君






ざわざわざわ……

8:15分。

携帯で見る時刻は、もうすぐあの嫌な集団生活が今日も始まることを告げてる。

ドアの前に立つ。いつだって、この扉が鉄の扉みたいに開けるのが重く感じてる。



だけど、今日はいつもより一層扉の向こうがざわついている様に感じるよ。



扉を開ける。

直ぐに、その“ざわつき”の答えは私にもたらされた―――



ガラガラガラ……

扉を引く音。

集中する視線。

一瞬止む皆のお喋り。

――ここまでは、平常運転。



でも、それから先が、ちょっと違った。



黒板に。何か貼ってある―――



パタパタと、普段私に見向きもしないある女子がこっちにやって来た。

そして、私にいきなりこう問いかける。



「ねぇねぇ草壁さんって、空き地で厨二病ごっこ・・・・・・してるって本当なの?!」



くすくすくす……

耐えられない、嫌な嘲笑にクラス中が染まる。



「厨二病ごっこって、どういう――」



その次の言葉を、私は黒板に貼ってある何枚かの写真・・・・・・を見て失った。



黒板に貼ってあったのは、紛れもなく私の写真・・・・だったからだ。



「え、えっと……」



返す言葉を失っていると、一人の男子が近付いてきた。

頭を丸刈りにした、野球部のクラスでもどっちかというとやんちゃな方の男子だった。



「俺さ、見ちゃったんスよね」

「―……」

「草壁が、学校サボってるの」



ニタァっっと、焼けた黒い肌に似合わない白い歯をちらつかせて彼は嗤う。

私より圧倒的に高い背で、威圧するみたいに覗きこまれる。

――何も、言い返すことなんて、出来ない。



「っていうか、草壁さんが精神異常者・・・・・って俺、知らなかったスわ」

「え……」



憐れむ様な目。

何て、冒涜――そう思って、何も言葉に出来ないまま彼を少しだけ睨もうとした瞬間、次の言葉に私は愕然とした。



「一人でオハナシしたり、ゲームして遊んだりしてるとか、ヒく」

「……嘘っ」

「何が?俺自主トレのランニングコースなんだよね。あそこ」

「だ、から……何…」

「だからぁ、見ちゃったんだって。お前が一人でオハナシしてるの」

「一人、なんかじゃ」



慌てて、何とか途切れ途切れに言葉を振り絞るけど、その先は途切れ途切れになってロクに出て来ない。

ファシュは……ファシュが…



「じゃあ」

私に詰め寄って、彼はポケットから取り出したスマホの画面をおもむろに私に見せつける。



コレ・・は何なんスかねぇ?草壁さん」



私は、震えながら彼に見せつけられた画面を見つめる。



そこに写っていたのは。



……― 一人で笑いながら、トランプをしている私の姿…





「な?」

「……」

コレ・・でもう言い逃れできないよな?異常者さん」

涙が、滲む。

何が、一体、全体、どう、いう……



「草壁さん、しょっちゅう休んでるし。俺、もしかしてあそこで休みの日サボってるんじゃないかって、思っちゃったワケ」

顔を、下に向ける。

――こんな奴に、泣き顔。見られたくなんかない。

涙、お願い。止まって……



「で、俺の母ちゃんに見に行って貰ったんだ。草壁さんが休みの日・・・・に」



クラスに居る人全員の視線が私に集中してるのが分かる。



「そしたら、やっぱり母ちゃんもお前が居るって言うし。あーやっぱりサボってんだなぁって」



零れた涙が、静かに頬を伝った。

何も、言葉にならない。



……何で?

私のことを散々無視して、追い詰めたのはアンタ達の癖に……



やっと見つけた私の“居場所”まで、奪わないでよ……





「って言うか、何か言ったら。学校サボってさ、ダメじゃん草壁さん」



こんな、こんなのって……あんまり過ぎるよ





どうやって、この場を切り抜けよう――冷や汗と涙が混じってワケの分からない液体が流れ落ちていく。



その瞬間。



チャイム、が鳴った。



一瞬、静かになる教室。

程なくして先生が入って来る―――



慌てて、私に声をかけた男子の取り巻きの別の男子が黒板に貼ってある写真を剥がしにダッシュする。



一瞬首を傾げた先生だったけれど、何にも追求しない。



うん、見て見ぬふり?それとも本当に気付いてない、だけ……?



「何だなんだ、朝から騒々しいな……HR始めるぞーっ」



もう、気が付けば皆着席してる。私の傍で仁王立ちしていた男子も、チッと舌を鳴らしてこう私の耳元で告げた。



「もう、学校サボるなよ、キチガイちゃん」





「草壁、藤堂、お前達も早く着席しなさい」



散会。

私達は黙ってそっと席につく。

私は、先生に悟られまいと俯いたまま、そっと欠伸をするフリをして涙を拭った。



でも、それは決定的なダメージ。

もう……私は、このクラスで…………









帰りたい気持ちを抑えて、やり過ごした。

でも、一日の記憶が残って無いや。何だっけ……