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第13話

#12 もう一度、君に会いに。







あれから、一週間が過ぎた。



地獄みたいな、一週間だった。











草壁さんって言わないで。

化け物みるみたいな目で、見ないで。





何百回、その言葉を呑み込んだんだろう。









あれから、私を無視する行動、密やかな陰口に、更に嘲笑が加わっていた。



先生が居ない所で、きわどさを増す。



皆は賢かった。先生は……頼りになんてならない。















そっと、私は歩いていた。



(本当は、来たくなかったけど)





どうしても、もう一度ファシュに会って確かめたかった。



足元で、小さく音を立てる草の音。

久しぶりに耳にする音はどこか少しだけ、懐かしくて。



小径を取り囲む様にして伸びた背の高い雑草達が私の周りで音もなく雨に打たれて揺れている。





ファシュが、写真に写ってなかったなんて。何かの間違いだよね?

きっと、会えるよね……?





あれから2週間。

地獄の様な日々が過ぎて、少しだけ私を嘲笑う視線がトーンダウンした様に感じて。



そっと。

私はまた彼を探してみようと思った。

でも、もう学校をサボる勇気は持てなかったし、放課後に立ち寄ったところでまた藤堂に見つかってしまいそうな気がして、怖くて出来なかった。



今日は日曜日。

そして雨。



……何と無く、という勘だけで。傘を差して少しでも顔を隠して、一度だけ見に行ってみようと思った。

雨の日なら、ランニングしてる藤堂は居なさそうな気もするし、だからと言って雨の日にファシュが居るとも思えないけれど、今日しか無い様な…そんな気がして。







(もう、梅雨入りしちゃった……)



時が経つのは早い。

こんなに重苦しい日々なのに、もう季節が先に進んでいるのを降り注ぐ雨の音で否が応にでも感じてしまう。



でも、少しだけこの雨が心地良くて。

心に溜まったドロドロのモヤモヤを全て洗い流してくれたら良いのに………



小径を、そっと登っていく。



緩やかな、坂を登りきったところで、一瞬にして景色が開ける―――





(この景色だ……)



傘を片手に抱えながら、何とも言えない郷愁に駆られる。



(大好きな景色、だったのにな……あんな写真、さえ撮られなかったら)





ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ



気が付いたら、少しだけ雨足が強くなってる。





(さすがに、こんな天気じゃ……居る訳、無いか……)



とぼとぼと、歩みを進める。

何度か二人で過ごした木の下へ。





ぽと、ぼと……大きな水の塊が、木の枝から時折落ちて来る。



(変なの……)



言い様の無い気持ちになる。





「やっぱり、居る訳ないよね……」







ざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ



雨が、舗装されていない小径と荒れ地の草叢に降り注ぐ、聞こえるのはその音だけ……



「ファシュ……」



名前、を呼んだ。





一秒、二秒、三秒……応答なし。





「いたっ」



瞬間、何かが上から落ちて来た……



肩に当たって、転がって行った_それ@・・_を見つめる。



「――?!」



転がったその先を少しだけしゃがみ込んでよく目を凝らすと、小さなが転がっていた。



「何だろ…木の実……」



何と無く、興味本位でその実を手に取って眺める。

それは、小さな何か実なんだけど、植物の木の実なんてさっぱり疎い私には、何の実か分かりそうもない。



そうこうしている内にも、雨が少しずつ勢いを増しながら降り注ぐ。

肩や足先が、少しずつ湿った感覚で侵食されていく。



(今日は、もう帰った方が良いのかな)



何と無く手に取った実を無造作に鞄の中に突っ込んで。

私は、小さな落胆から唇をちょっとだけ噛み締めながら静かに踵を返す。



(ファシュ、本当に私が見た幻だったのかな)





誰もその問いには勿論答えることは無くて。







家に帰って、ずぶ濡れになった靴を洗って乾かすのに骨が折れた。