第33話

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2020/04/04 15:00
アナウンサー「先日、スター発掘番組で一躍有名になった歌手の須賀ヒカルさんが行方不明となっている事が、須賀ヒカルさんの学校関係者の取材で明らかになりました。須賀さんのSNSでは一週間前の更新を最後に途切れていて、警察は誘拐とみて捜査を進めています。」
汀音が俺を連れてきたのは無限城でもなく、ただの家みたいなところだった。
家って言っても広すぎてるけどね?!
なんなの汀音と俺しかいねぇのに寝室5部屋って……俺分裂するの?なんなの?
てか、ニュース!!!!
これしか言うことなかったの?テレビさん!?須賀ヒカルちゃん有名になっちゃうじゃん!?
歌手になった覚えもねぇよ!
おい、誰だ学校関係者!シバくぞ!
俺は汀音に連れてかれて外に出られん以外はまぁ普通に生きている。
怪我はなんか治った←
汀音は俺のことめっちゃ気にしてくれてる。
え、待っておれ誘拐されたんだよね?え?
めっちゃ優遇されてるよな?え?俺の認識の違いですか?
もっとさ、24時間労働とかさせられるんじゃないの?
汀音「有惨様それは“どらま”とやらの見すぎでは?」
ハル「うお!びっくりしたぁ…聞こえてたの?!」
汀音「はい、ばっちり。有惨様は独り言が大きいですからねぇ」
ケラケラと笑う汀音は昔と変わらなくてなんだかとってもいい気持ちになった。
ハル「汀音さ、俺のことどうすんの?鬼にしないし、なんかするわけでもないじゃん?」
汀音「ふふっ秘密ですよ」
そう言って汀音はスタスタと奥へ消えた。
監視しなくていいんか、とか思った俺はドラマの見すぎだだろうか
外にはどうやっても出られんが、外の情報なら知れる。
なんせ俺にはスマホがあるのだ。
は?お前監禁されたんよな?って思う君!俺もそう思った。同士よ
LINEとかの連絡手段も使える。
助け求められるじゃん!と思ったそこの君。同士。俺も連絡取ろうと思ったけど、ここがどこかわからん。
窓が締め切られ鍵がかかっているし、スマホの位置情報も何故か機能しない。
だから俺はひたすら「無事です」としか送れない。
そしたら「成りすましか?」って来たから誠に恥ずかしながら自撮りしてやったわ。あー恥ずかし
LINEで聞くところによると、誰かがメディアに俺が行方不明のことを漏らしたんだと。よし殺す
ブツブツスマホとにらめっこしてたら
汀音「ねぇ、有惨様、YouTube更新しないの?」
ハル「………………………………………は?」
汀音「いや、有惨様の声聞きたいなーって」
ハル「は?え?いや、それならわざわざYouTubeに上げなくてもこの場で歌うけど…」
汀音「分かってないなぁー。オタクってのは同担拒否さんもいるけども、みんなで喜びを分かち合いたいって人も数多くいるんです。私だけで須賀ヒカル様を堪能するなんか出来ませんっ!」
うん、多分こいつはヤバいぞ、みんな逃げろ。嘘ですごめんなさい逃げないで助けて
汀音「それに、歌姫は生きてますよーって教えなきゃでしょ?!」
監禁犯がそんなこと言ってもいいのか…
ハル「えー、まぁいいけど…」
瞬間、汀音がめっちゃ嬉しそうな顔した。可愛い






















❁✿✾ ✾✿❁︎
テレビの人①「えー、続いてのニュースですが…行方不明となっていた歌手、須賀ヒカルさんが失踪中でありながらYouTubeを更新。いつも通りの様子であることから本当は失踪していないのかという声がSNSで相次いでいます…」
テレビの人②「これ、ひとつの憶測なんですけどね、この人、話題欲しさに失踪を自作してるんじゃないの?」
テレビの人③「でも実際、失踪届けが警察に届いてるんだよ?わざわざ墓穴掘るみたいなことするの?」
お昼のワイドショーでなんか俺の名前が上がってるー
ふと、ケータイの通知を見た。
再生回数とコメントが馬鹿みたいに溜まってくように見えるのは俺だけか
「とりあえず、無事で良かったです(><)」「ヒカルちゃん!早く帰ってきて!」
このコメントは良しとしよう
「失踪自作?ふざけんな」「話題作りがそんなに楽しいか」「俺ファンやめる」
よし、野郎のファンなんか要らねぇ失せろ。
ちなみに鬼狩りLINEでは
しのぶ
しのぶ
馬鹿なんですか?
って来てた辛い

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