第4話

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2021/03/06 16:20





目を覚ましたのは





アラームをかけた9時よりも早い時間だった





俺の部屋





あなたには合鍵を渡していた





あなたを起こさないように静かにベットから出て





家を出る準備をした





あなたがいなくなったら戻ってくるから





すぐに準備は終わって





あの時2人がいたベランダに出る





立冬





頬を撫でる風は冷たい





頬を伝う涙は暖かい





机に1枚の手紙を置く





飛んでいかないようにペアリングをのっける





「合鍵はポストに入れといてね。」





いつもは気にしない字だけど





なぜだか、丁寧に時間をかけて





綺麗に書いた





別れの手紙くらい





綺麗でいたかった





愛がないならもう会えないよ





そんなことをしていたら





もう10時過ぎになっていた





いつあなたが起きるかわからない





俺は荷物を持って家を出た





扉を閉める時





少しだけ迷った





ほんの数秒





家の中を覗いた





そこには





手紙を持って立っているあなたがいた


















































太我
太我
なんでだよ、、、





冷めないで





消えないで





そう願ったって遅いのに





時間を潰すためにネカフェに入った俺





声を押し殺して泣いた





今まで俺が別れを告げようとした時





いつも彼女は止めてきた





でも今回は違った





ほんとに終わったんだ





彼女のLINEを開いて何度も打っては消してを繰り返す





太我
太我
愛して





まだ相手してほしくて





自分が情けなかった





きっとLINEなんてブロックしてんだろうな





既読の付くはずがないLINEに自分の想いをぶちまけた





馬鹿だよな、俺





太我
太我
ねえ、行かないで
太我
太我
棄てないで





今までの別れとは違う





ペアリングを外してしまった以上





もう縋ったって遅い





もうよくわからない





運命なんてあるのかわからないけど





もしいるなら





誰でもいいから





俺を救ってくれ





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