佐久間side
「ん、起きた?」
昨日の夜、ソファーで眠ってしまったあなたをベットまで運び、自分もその横で眠った。
目が覚めたときも、まだ彼女は眠っていた。
その寝顔を見つめていると、あなたが目を開いた。
「ん....さっくんおはよ」
「ほら、起きて」
「服.....」
もぞもぞと動き、服を探すあなた。
「脱がせてないから笑 着てるよ?」
「え、あぁ」
「着てないほうがよかった?」
「....さっくんの意地悪」
ふてくされるあなたを抱き上げ、洗面所に連れていく。
「ほら、顔洗って〜」
ようやく頭が起きたあなたと朝食の支度をする。
「あれ、照は?」
「お兄ちゃん朝弱いから一人じゃ起きない。てか今照って言った?」
「言った」
「ふ〜ん?」
「なに、嬉しそうじゃん」
「だって2人には仲良くなってほしかったんだもん」
「まあ、いずれ兄弟になるわけだしね?」
ぱっと顔を上げるあなた。
「兄弟?ってことは....」
「ゴメン、余計なこと言った」
「余計ってなに」
「ごめんって。今度ちゃんと言いたいから今は言わせないでくれる?」
あなたは嬉しそうな顔でニヤリと笑った後、「は〜い」とゆるい返事をした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。