佐久間side
「運転上手いね」
「そう?ありがとう、」
慎重に左右を確認しながら駐車するあなたの横顔を見つめる。
「よし、オッケーかな!」
「お疲れ〜」
到着したのは、思いの外近くのマンションだった。
「ただいま〜」
どうしたらいいか分からず、玄関でたたずむ。
「お帰り」
「さっくんいるんだけど入れていい?
「いいよ」
優しげな声の男とのやりとりが聞こえたあと、「さっくんー!入ってー」というあなたの声が聞こえた。
「お邪魔します」
深々とお辞儀をして中に入る。あなたの家族に会うのは初めてだから、少し緊張する。
リビングには前にあなたと一緒に歩いていた背の高いガタイのいい男と、翔太とあなたがいた。
「はじめまして。あなたさんとお付き合いさせて頂いております、佐久間大介と申します」
「そんな固くならないで笑 コーヒーと紅茶どっちがいい?」
「あ、紅茶で」
お兄さんがキッチンに消えたタイミングで、翔太が話しかけてきた。
「復縁したの?」
うん、と答えようとすると、あなたが割り込んできた。
「別に、別れてないよね?」
それを聞いた翔太は困ったように
「別れて下さい。はいわかりました。っていう会話がなくても別れた事になることもあるだろ…」
と呟いていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。