あなたside
「ねえ、佐久間もうヤバイよ」
平日の昼間、仕事前に阿部ちゃんの家に立ち寄って話していると、阿部ちゃんがこんな事を言い出した。
「ヤバイって?」
「みなみが現れたって言い出した。」
「みなみさんが??」
「うん、とうとう頭やられちゃったかな」
そういう割には彼を心配している気配はない。
もしかしたら阿部ちゃんは信じているのかもしれない。みなみさんがさっくんの前に現れたこと。
「そっか笑」
「みなみはね、すっごくポジティブな人なんだ」
「ポジティブ?」
「うん、コントか!ってツッコミたくなるくらい、なんでも肯定するの。佐久間はみなみの影響をだいぶ受けてるんだ」
「へぇ、素敵な人だね、みなみさんて」
「…うん、とってもいいやつだったよ」
「私その人に勝てるかなぁ」
「勝ち負けなんてないよ。あなたはあなたでしょ?」
「ふふ、やっぱり阿部ちゃんはお兄ちゃんみたい」
「あなたは今お兄ちゃんと住んでるんでしょ?」
「うん」
「…佐久間には会いに行かないの?」
「だってみなみさんといるんでしょ?邪魔しちゃ悪いもん」
「なるほど笑」
会いたいのは確かだけど…やっぱり意味のある再会じゃなきゃ!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。