佐久間side
一度離れてしまったのなら、出会うとこから始めなきゃ。
俺は決意した。あなたにまた出会うことを。
初めて、「あなた」に会いに行くと。
店の中では彼女が働いていた。
他に客はいない。よし、いまだ。
深呼吸をしてドアを押す。
カランコロンと乾いた音が響き、あなたが顔を上げた。
「いらっしゃいませ〜.........!?」
驚いた顔をする彼女に気が付かないフリをして、震えそうな声をなんとか絞り出す。
「あの、モンブラン2つください」
「あ、はい」
箱に丁寧に入れられたケーキを受け取り、お金を払って店を出る。
店を出るとき背後から「またお越しくださいませ....」
と呟く声が聞こえた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。