佐久間side
ようやく訪れた大事な日。
俺の大好きなあなたが大人になる日。
あえて朝は何も言わず、いつも通りの朝を過ごした後あなたを外に連れ出す。
いつもは流れるように言葉が出てくるのに、今日に限って話す事が見つからない。
帰宅してあなたがリビングの電気をつける。
重なる2人の声と、鳴り響くクラッカーの音。
4人でご飯を食べて、あなたの成人を祝う。
すっかり精神状態も良くなったあなたにラウールは安心した顔をした。
2人が帰り、俺たちは出かける準備をする。
何も言わずともワンピースを手に取ったあなたを見て、連れていこうとしてる所をわかってるんだろうなぁと思って。
俺もスーツに着替え、髪を整える。
そして…
1枚の紙とネックレスを鞄にしまう。
しばらくすると、メイクを終えたあなたが戻ってきた。
「じゃあ、行こっか」
あなたの手を取って、マンションの外に待機していたタクシーに乗り込む。
涼太のレストランまでは20分ほど。
チラリと隣を見ると、あなたはじっと窓の外を見つめていた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。