第43話

#43
963
2020/10/11 14:07
佐久間side



ようやく訪れた大事な日。




俺の大好きなあなたが大人になる日。



あえて朝は何も言わず、いつも通りの朝を過ごした後あなたを外に連れ出す。




いつもは流れるように言葉が出てくるのに、今日に限って話す事が見つからない。





帰宅してあなたがリビングの電気をつける。





重なる2人の声と、鳴り響くクラッカーの音。




4人でご飯を食べて、あなたの成人を祝う。




すっかり精神状態も良くなったあなたにラウールは安心した顔をした。





2人が帰り、俺たちは出かける準備をする。




何も言わずともワンピースを手に取ったあなたを見て、連れていこうとしてる所をわかってるんだろうなぁと思って。




俺もスーツに着替え、髪を整える。




そして…




1枚の紙とネックレスを鞄にしまう。





しばらくすると、メイクを終えたあなたが戻ってきた。





「じゃあ、行こっか」





あなたの手を取って、マンションの外に待機していたタクシーに乗り込む。




涼太のレストランまでは20分ほど。




チラリと隣を見ると、あなたはじっと窓の外を見つめていた。

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