耳を塞ぎたくなるほどざわめきが増していよいよ収拾がつかなくなってきたので、私は頬杖をついて少し大きな声で言った。
「……ちゃんと説明してよ」
ジト目を向ければ、こちらに気付いたハルアキくんが楽しそうに笑った。
「するする。えっとなみんな、俺とあなたは幼馴染みなんだ。家が真向かいでよく遊んでやってて、それだけだ」
“よく遊んでやってて――それだけ”。
ちり、と胸の奥に違和感を感じた。
「もしかしたら距離が近いとかあるかもしれないが、まぁ幼馴染みだからってことで見逃してくれ。早速解雇されたくないからな」
みんながどっと笑ったが、私は全く笑えなかった。
意味わかんないんだけど……。ていうか気まずいとかないの?
……私が告白したこと、忘れてないよね?
「んじゃ、委員・係決めするぞー。HR終わるまでに決まらなかったら明日の昼休みに決めるからな。まず学級委員長」
「ハイッ!」
「早ぇな」
素早いツッコミに再び笑いが起こる。
他は?と全体へ尋ねるが、名乗り出る人はいない。
そのため、真っ先に手を挙げた野球部男子で決定となった。
「はい拍手ー」
ハルアキくんの言葉で教室中が拍手の音に満ちる。
副委員長、その他各委員のメンバーもすらすら決まって、あとは係だけ。という時だった。
「どうしよ……ボランティア係は絶対嫌なんだけど」
背後でひそひそ話が始まった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!