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第18話

十七話
「今思えば、馬鹿な選択だった。あの時の泣きそうな、傷ついたお前の顔が頭から離れなかった。お前のこと、諦められなかった」

ハルアキくんが自嘲気味に呟く。

ふっと目を上げ、凛と強い瞳で私を射抜いた。

「今更遅えよって思ってるだろうけど。あなた、好きです。俺と付き合ってください」

ハルアキくんの告白が、夏の夜の湿った空気に溶ける。

私はそれを少し大きめに吸い込んで、時間をかけてゆっくり吐き出した。

その時間に、何度も自問自答した。

けれど――――出てくる答えは同じだった。

「……ハルアキくんのこと、好き“だった”よ」

ハルアキくんが何かをこらえるように下を向いた。

「なのにさ、馬鹿だね、私も。――惚れ直しちゃったみたい」

弾かれたようにハルアキくんが顔を上げる。

私は、私が持つ全ての“好き”を込めてハルアキくんに微笑んだ。

次の瞬間、ハルアキくんに強く抱きしめられた。

いきなりでびっくりしたが、嬉しかった。目を閉じて頬を緩め、ハルアキくんを抱きしめ返す。

ドキン、ドキンと少し速い二つの鼓動を感じる。

……本当に、ハルアキくんも私も同じ気持ちなんだ。

すっとハルアキくんが離れていったと思えば、「あなた」と改まった声で呼ばれる。

「キスしていいか?」

すごいどストレート。

そのまんま聞いてくるとは思わなかった……。てか、キス初めてなんですけど大丈夫かな。

いろいろと不安要素はあったが、やはり好きなので、「ダメ」とは言いたくなく。

「……確認だけど、いいの?付き合うこと。一応教師と生徒だよ」

「たった二年隠し通せばいいんだ。楽勝だろ」

「そういう余裕危ないよ……?」

なんて話しているうちに、少しずつハルアキくんの顔は近付いてきていた。たとえ私が拒否していても止まる気など最初からなかったに違いない。

……まぁ、大丈夫だよね。



どうせ祭りの喧騒と夜の暗さで、私たちなんて誰も気付かない。