第11話

第10話
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2024/03/11 10:03
実玖です…
今、家に帰ってるはずなんだけど…
道が違う!!明らかに違う何処かに向かってる!
気がするんだけど…

どうすればいいと思いますか?

明らかに家とは真反対に行ってるんです…
え?藤宮って方向音痴だったっけ?


「ふ、藤宮?」

『・・・』


あ、ダメだこりゃ
完全に聞こえてないわこれ…

まぁ流れに身を任せますか…

これで事故ったら多分…いや一生恨むけどね()


いつもより少し高い藤宮の体温を感じながらどのぐらいの時間が経っただろうか…

そして本当に思う…藤宮は何処に向かっているのか…


運転中とは言え少し停まって話してくれても良くない?…と思う実玖であった
すると、急にバイクが停まった

着いたのかと思えば周りには畑しかない道だった
そして何より藤宮の様子が可笑しい……


「藤…宮…?」

『・・・』

「ねぇ藤宮!?」



後ろから声を掛けたり揺すってみるが応答は無い

でも1つだけ気になることがある

「藤宮…?ちょっと失礼…」

熱い…いつもに比べると数倍熱い…

「熱…?」
このタイミングで?


そうか…藤宮の体温が少し高く感じたのはこれが原因だったのか…と1人で納得した
と、悠長に納得している暇ではない…

ここは何処だか分からな…くもないか…
良く仕事で使う道だからこの辺の道は分かる方だと思う

でも後ろに体調不良者を乗せて走る訳にも行かないし……


そして1つ良い案が浮かんだ
「確か……この近くにホテルあったよね…?」

そうこの近くは人気スポットとして宿泊所が結構ある…

でも…そのホテルより藤宮の家の方が近いのだ

そして、少し大変だが藤宮を後ろに乗せてバイクで走ることにした

(因みに藤宮は意識はあるけど、辛くて話せない状況…)
体力と時間を消費し、何とか家まで戻ってこれた

勿論帰ってきた先は私…浅雛家だ

藤宮家に言ったところでろくな食料が無いと思い、時間を掛けてこっちまで戻ってきたのだ

「って早く寝かせないと」



こんな話し込んでる場合ではない
少し服を脱がし汗を拭かせる

次に濡らしたタオルを額に掛ける
あいにく冷えピタは切らしてたのでこれで代用

食べれるかは分からないけど卵粥を作ろう
もし食べれなかったら無理矢理でも食べさせよう()
お粥を作り終えたので藤宮が寝ている部屋へと急ぐ


だが、藤宮は規則正しい寝息を立てて眠っていた

「しょうがない……」
お粥を食べる人が寝たため食べる人が居ない…捨てるのも勿体無いから自分で食べるか…


と、数分1人でモグモグしていたら急に藤宮が起きた

『ん……んん…?実玖?』
「あ、起きた」
『何食べてる…?』
「お粥」
『誰の…?』

バカかこいつはお粥と聞いたら自分のって分からないんか?分からないんだなよし

「勿論藤宮のだけど?」
『っぁ…名前……』
「ん?藤宮?」
『違っ……翔って…』

え?!本当に変わってないな…
「どうした?翔?」
『実玖…』
「よしよし…辛いんだから寝なね?」

『お粥……食べたい』
「え?!」

今、食べ終えちゃったよね
「翔ごめん…今食べ終わっちゃって……作ってくるね」

『じゃ…いらない……』
と言いながら藤宮は“ギュッ”と服の袖を掴んでくる

『だから何処にも行かないで…?』


「はいはい…ここにいるから眠って良いよ」
『ごめ……ありがと…』
「別に良いって」

そう言い終わるか終わらないうちに寝た
小さい時からずっとこうだった…
体調を崩したり風邪を引いたりするとこうなる

別に親が亡くなったわけではない
なんなら藤宮のご両親はピンピンしてる

なら何が原因か……それは今でも分からない…
でも本人が言うには
“『怖い夢を見るから』”と言う

大人になっても治らないと言うことはどれだけ怖い夢なのだろう…?
少し見てみたい気もある…
そっと翔のほっぺをつつく
『うぅ……?』
と言う声を出す

「お前は一体どんな夢を見てるんだ~?」
勿論返事は無い

その怖い夢を私がどうにかさせてあげられたら良いんだけどな…

そう呟く…と

『どうにかする方法…ある……』

と、藤m…翔の声…
え?なん?!え?
翔が寝ている布団を見ると目が開いていた
そして……
『この夢をどうにかする方法ならあるよ』

と、静かに言ってきた

でも…本当に……
「ほんとにどうにかなるのなら何でもする」

翔がこれからも楽になるのならと思い
なんにも考えずに私は言った

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