第9話

出会い編…(8) 限界
1,013
2019/11/16 15:11
前回までのあらすじ

嵐の総監督になったあなた。遂に嵐一致団結し、復活しようとまとまった。しかし、あなたに危機が迫る…
٭•。❁。.*・゚東京テレビ.゚・*.❁。.*・٭•。
私はいつもの様にスタジオに向かう。数多のアイドル達が私を見あいさつした。
あなた

おはようございます!

私がふとスタジオ裏に入ると、元気の無いみんなが居た。
あなた

どーしたんですか…?皆さん。

ディレクターは紙を私に見せた。ゴールデンに移行のお知らせと、メンバーの大幅な入れ替えを検討する書類だった。
その中にプロデューサーの名前にあなたと東京テレビ社長との移行が記されていた。
あなた

え…

照明スタッフは、少し間を開けた
「…俺達も全力であなたちゃんを守りたいと思っている…
だから功績をあげて、あなたちゃんじゃないとプロデューサーが勤まらないことを証明したいんだ!頼む!今月は嵐よりも、こっちに専念してくれないか?」
私は嵐の話など照明スタッフだけでなく、誰にも内緒でいたはずだった。なのに照明スタッフは私と嵐に関係があると言われて驚いた。
あなた

照明さん…知ってたんですか?

「あの日、二宮さんと大野さんが来た時から、薄々感ずいてたよ。あなたちゃん、嵐の全員と何かやってんだろ」
私は言葉が詰まった。
ここで嵐の総監督をしている事を皆に言えば、プロデューサーとしての仕事を裏切った様で、いうのが怖い。
だけど今まで仲良くしていた先輩たちに嘘はつきたくなかった。
あなた

驚くと思います。ですが、私は皆さんを大事な仲間として、もう裏切るわけにはいきません…本当の事を言います…

私ははぁっと息を吐いたあと、胸に手を当てて、言った。
あなた

私、嵐の総監督になったんです。

一瞬にして皆は口々に声を漏らした。
私は目を瞑ってかたり続けた。
あなた

プロデューサーをやって行くうちに、私は嵐の復活して欲しいと願い、ありがたいことに、私は滝沢社長から総監督に任命していただきました。
今も嵐のメンバーとして5人の復活のため、プロデュースしています。
黙っていて申し訳ございませんでした。

私は皆に頭を下げた。
東京テレビ社長
おやおや、皆さん。
深刻な顔をして何を話してらっしゃるんですか?
私は声の主を見た。東京テレビの社長だ。社長は、プロデューサー席に座って机の上手を置き、頬をついた。
東京テレビ社長
あぁ、お久しぶりですね。あなたさん。
あなたと会うのはこれで5回目ですね。
顔では笑顔を振りまくも、優しい声には、どす黒い何かが見えた。
あなた

社長…この度は大変申し訳ございません。

東京テレビ社長
いえいえ、とんでもない。
私もあなたの功績が上がって嬉しく思います。
社長はメンバーの入れ替え表を手にすると、プロデューサー欄を指さした。
東京テレビ社長
ところで…皆さん。なぜこの子がプロデューサーであり続けたいと思うのですか?
その場にいた全員がキョロキョロと互いを見渡す中、照明スタッフは迷うこと無く言葉を発した。


「彼女は、打ち切り寸前だった俺達のテレビ番組を、就任わずか1ヶ月で立ち治してくれました!しかも、テレビ離れした若者層を戻し、遂に今年、全局15週連続一位をとる事が出来ました。彼女はこの番組の救いの神です!」


社長はその言葉を聞くと、うなずいた。
東京テレビ社長
確かに彼女はテレビ界を大きく変えた奇跡の女性と言えます…
ですが良いのですか?
これから彼女は嵐としての活動にも力を入れる事になる
そーすれば、この番組の活動時間が大きく減ることになります。それだけならまだしも、番組の2時間スペシャル等をもし作ることが出来たとして、プロデューサーが不在なんて事があればどーするのですか?
皆さんは、彼女を信じてついて行くことが出来ますか?
照明スタッフはぐっと拳を握りしめた。
私のことをここまでかばってくれる照明スタッフに、感謝の気持ちと、勇気を貰い、私は立ち上がった。
あなた

そんな事、絶対になりません!

「あなたちゃん…?」
あなた

私がこの番組のプロデューサーです。
何があろうと、この番組を続けていきます!

東京テレビ社長
…じゃあ君は嵐の総監督をやめると…?
あなた

違います。
私はどちらもやり遂げてみせます。

私は白いボールペンを手にそう言うと、社長はニヤリとわらった。
東京テレビ社長
あなたの有志…分かりました。
ではこうしましょう。
この番組がゴールデンになる前に、貴方は1度でも欠席せず、この番組を続ければ残留。
そーでなければ、この番組のプロデューサーをおりていただきます。よろしいですね?
あなた

はい…絶対にやりとげてみせます…!

社長は部屋をあとにした。
私はボールペンを手に、ぐっと握った
٭•。❁。.*・゚後日.゚・*.❁。.*・٭•。

私は嵐の総監督として、復活LIVEの打ち合わせや、番組のプロデュースで毎日追われていた。

私は目の回るようなスケジュールに、立っていられるのがやっとだった。
私はスケジュール帳を出し、震える足を持ち上げた
あなた

次は…収録です…!

ぐっと体を持ち上げた時、後ろから手を引く人がいた。
あなた

…何をしてるんですか?大ちゃん…

大野智
…お前、絶対おかしい。
あなた

何がですか…私は至っていつも通りですよ…?
今日も嵐のLIVEの打ち合わせを…

大野智
いや、全然違う。
顔見たらわかる。
あなた

…なんで…私、そんなにおかしいですか…?
全てやりきらなきゃいけないんです!
プロデューサーも、総監督も…
全部私の仕事で、夢なんです!
番組のプロデューサーをする事が…!

大野智
でも、あなた…もーここ3週間まともに休んでねぇだろ。
言ってることもやってることもちんぷんかんぷんになってる。目の下のくまも、日に日に濃くなってる。
あなた

なら、それを上回る程、頑張ってみせます!
全てやりたいんです…

私が声を荒らげた瞬間、急に景色がグランと歪んだ。
足は線が切れたようにくずれおちて、体が大ちゃんの手の中に収まった。
目が思う様に開けられなくなって、私はロウソクの火を消されたように、ふっと意識がとんだ。
٭•。❁。.*・゚病院.゚・*.❁。.*・٭•。

気がつくと、私は病院のベットの上だった。
あなた

ここは…

櫻井翔
気がついた?
私は首を横に向けると、櫻井さんがリンゴを向いていた。
あなた

…櫻井…くん?

私はぼーっとする意識の中、記憶をたどった
あなた

収録…行かなきゃ…!

私はたとうとするも、体に力が入らない。
櫻井翔
無理だよ。あなたちゃん過労で死にかけたんだ。動ける力なんて、残ってないよ。
櫻井くんは優しい穏やかな口調で林檎を切ったまま、ニコリとわらった。
あなた

私…私!

最後の力を振り絞り、立ち上がろうとした瞬間、櫻井くんが手で私の目を覆った。
櫻井翔
大丈夫。俺たち嵐が何とかするから。
今は寝て?
その言葉を聞くと、私は体中から力が抜け、眠気が襲った。私は彼の手を握った
あなた

…ありがとう…

私は目から涙が出なかった。でも、枯れ果てた目には、皆への感謝の気持ちがいっぱいつまっていた。
٭•。❁。.*・゚2日後.゚・*.❁。*・٭•。

私がもう一度目を覚ました時には、時が2日もたっていた。
私は飛び起きると、そこには心配そうに見守る相葉くんが居た。
あなた

…あれ?
今日何日ですか?

相葉雅紀
11月17日だよ。
あなたちゃん、2日間まるまる寝てたんだよ。
私は慌ててカバンを持った
相葉雅紀
どこ行くの…?
あなた

今日は東京テレビの仕事があるんです…!行かなきゃ…!

相葉雅紀
大丈夫だよ。
その仕事、リーダーがやってくれてるから。
あなた

え…?

相葉雅紀
あなたちゃんが倒れた日、皆であなたちゃんを見るって話した時ね、リーダーがあなたちゃんがいつ仕事に復帰しても良いように、俺があいつの席守るんだーって言ってたよ。
私は相葉くんの言葉を聞いて止まった。
あなた

もしかして、皆…私の為に…?

相葉雅紀
うん。翔ちゃんも、ニノも、松潤も毎日日替わりで看病して、リーダーなんてあなたちゃんの仕事を全部やってたよ。
「俺無理。もー動けない」って毎日言いながら電話してたよ
あなたちゃん凄いね。
あなた

…ありがとうございます…
みんな私の為に…

相葉雅紀
良いよ!そんなの気にしないで。
あなたちゃんは沢山休んで元気になって?
相葉くんが私に布団をかけてくれた。
嫌な気持ちがどんどん押し寄せてくる。
私が社長との約束守れず、倒れてしまったこと。
もーあの番組のプロデューサーには戻れないこと。
皆を裏切ってしまったこと。
あなた

…私、プロデューサー失格ですね…

相葉雅紀
そんな事ないよ。
相葉くんは私の言葉に優しく笑顔を向けながら声をかけた。
相葉雅紀
だって、俺らの事もちゃんと元に戻してくれたじゃない。
今の仕事だって、ずっと1位なんて取れないよ。本当あなたちゃんは凄い人なんだよ。
私は唇を噛み締め、力いっぱいに口角を上げ、わらった。
あなた

本当に相葉くんは優しいですね。

相葉雅紀
そんなことないよ…
相葉くんはそっと頭を撫でてくれた。
相葉雅紀
…ごめん。あなたが起きたのに安心したら、トイレ行きたくなってきた…!
あなた

あ、無理せずいってください。

相葉雅紀
うん!じゃあいってきます!
私が相葉くんに手を振った後、彼は部屋から飛び出した。私は布団を深く被りながら、天井を見ていると、扉が開く音が聞こえた。
カツカツとくつの音と共に、死神はいた。
東京テレビ社長
こんばんはあなたさん。
社長だった
あなた

社長…!

東京テレビ社長
この度は災難でしたねぇ…
仕事中に倒れたとか…
あなた

はい…ご迷惑をお掛けしてすみませんでした…

東京テレビ社長
いえ、私なんかではなく、大野さんにいってください。
あなたの代わりに3日間連続で仕事を手伝ってくれていますからね。
私はべっとから起き上がると、社長はこちらをニヤニヤと笑いみていた。
東京テレビ社長
…ですが残念です…
あなたがあの番組を続けられないなんて…
私は行くのが悲しくなり、そっぽを向くと、社長は顎をクイッと持ち上げた。
東京テレビ社長
あなたが皆様を裏切ったからです…
自業自得ですよ…
あなた

…私は…

東京テレビ社長
ですが、もう一度あなたにチャンスを与えましょう。
社長は嵐の写真を見せた。
あなた

嵐の写真…?

すると、嵐の写真をビリビリに裂き、プロデューサーの腕章を見せた。
東京テレビ社長
もう一度、貴方の席を空けておきます。

…ですが、この席が欲しければ、あなたの大好きな嵐を捨てなさい。
私はぐっと手に力を入れて、歯をかみ締めた。
東京テレビ社長
あなたの答え…待っていますよ?

パラパラと床に落ちる写真の欠片を見ながら、私は拾いあげようと立とうとした。でも、私の体は動いてはくれなかった。

私は目の前で嵐の写真を破られた悔しさのあまり、涙が止まらなかった。


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