環奈side
きっと、あなたも1人で、
色々考えてることがあるんだと思う。
後2ヶ月程で、
七瀬との結果もつくだろうし、
自分のアレルギーとの戦いにもなる。
その中で、大学に入学して、
廉くんとも上手くやらないといけない。
世間にバレちゃいけないし、
外で簡単に会うことも出来ない。
あなたなりに、1人で考えてるんだろうな…
バタン
あなたは、1人で外に出ていった。
あなたside
勢いで外に出たものの、外は大雨。
この1月末、当たり前のごとく、
気温は1桁なのに、
ジャンバーも着ずに家を出た私は、
心底バカだなと思う。
どんどん濡れていく服が、
私の体温を、どんどん奪っていって、
体は、すぐに冷たくなった。
でも、すぐに家に帰る訳にもいかず、
公園の木の下で、
1人うずくまる。
もう何度思ったことか…
何してんだろ…
って自分を理解しようとしても、
何も分からない。
こうやって、何度も躓いていて、
自分が嫌になって、
死のうと思っても、死ねなくて…
もう後ろは向かないって決めたのに、
いつもどうしても、後ろを振り返ってしまう。
そんな自分が大嫌いだ。
岸くんは、私に傘を差し出してそう言った。
私達は、シェアハウスに帰った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!