第333話

333話 1番辛いのは
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2019/09/25 15:29
















午後10時





○△□病院































部屋の前で、永遠に鳴り続けてる、

音の高い、“ピー ピー ピー”

という音に、一瞬体が固まってしまって、

動けなかった。








それでも、

自分の体ではないように、

重い、手と足を動かして、

何とかドアを開けた。






































































そして、初めに聞こえた言葉は…























医師
ご臨終ごりんじゅうです……






そして、手早く機械を切って、

深く礼をして、部屋を出ていく、

医師に、何とも言えず、

ただただ、棒立ちになる。








そして、目の前に居る、

背の高い、男性。






きっと私の弟。






後ろ姿しか見えていないけど、

全く動かない。






















これが、弟との初対面。



私は、泣く事も出来なかった。







































優斗
お姉ちゃん……?


ドアの前で棒立ちの私に、

弟は、疑問形で声をかけてきた。





東 〇〇〇
東 〇〇〇
うん…
優斗
ごめん…俺、お母様の事も、
お父様の事も守れなかった
優斗
ごめん…ごめん…

弟は、ボロボロと、

涙を流し始めた。












弟のせいじゃない。


弟が謝る必要なんか無い。




















私は、何かを思うより先に、

体が動いた。







そして、弟を抱きしめた。










東 〇〇〇
東 〇〇〇
優斗のせいじゃないよ?
東 〇〇〇
東 〇〇〇
優斗は、何にも悪くない




私よりも、背が高いから、

きっと頼りないだろう。





それでも、少しでも、

優斗が元気を出せるなら、

私は、作り笑顔でも、

皆を笑顔にしないと。







来海にも、

“皆を笑顔にしてね”

って言われたから








東 〇〇〇
東 〇〇〇
ごめんね、来るの遅くなって
東 〇〇〇
東 〇〇〇
1人で寂しかったよね、辛かったよね
東 〇〇〇
東 〇〇〇
もう大丈夫だよ
東 〇〇〇
東 〇〇〇
私が一緒に居るから






初対面の弟に、

私は精一杯の、言葉をかけた。




背中を撫でて、

作り笑顔で、

だって1番辛いのは、

優斗だから…







作者のアカリ
作者のアカリ
ゾロ目〜!(333話!)

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