私は、そのままそこで少し時間を潰す事にした。
分かってる、6人が、
操られて言ってるのは。
でも、やっぱりあの声で、
聞きたくなかった。
でもそれは、なにわ男子や、
美桜達も一緒で、
裏切り者にされたくなかった、
忘れて欲しくなかった。
ずっと一緒に、笑っていたいのに…
少し前の、楽屋では…
やはりまた、
自分達が言ったことは、
忘れているのだ。
そして、結局全員が寝てしまった。
午後8時
Mステが始まった。
私は、出演した。
King&Prince!と呼ばれ、
階段を降りる。
横の観客席からは、
黄色い歓声が飛んでくる。
私は、営業スマイルをぶちかまして、
全てをやりのける。
階段を降りてる際に、
横から聞こえた、
「熱愛報道出たばっかりで、よく出れるな」
という言葉には、
やはり、そりゃあそうだよなと、思う。
だけど、よく考えたら、
これで出なかったら、
私が認めた事になっちゃうじゃん。
そんなの、絶対に嫌。
私は、リハーサルにも出なかったから、
歌う曲しか知らないけど、
基本的な動きは、
もちろん分かるから、何とかなるだろう。
後は、メンバーから言われる言葉に、
自分が壊れないように、
自分を制御するだけ。
自分にそう言い聞かせた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。