海人は、どこか話しやすさがあって、
でもその分、
毎回余計なことまで喋っちゃって、
嫌な雰囲気にしてしまう。
分かってはいる。
これを海人に言ったところで、
海人を困らしてしまうだけだって。
でも、1度ブレーキが効かなくなると、
その後、止まらなくなる。
だから嫌いなんだ。
こんな自分。
そしてカフェ横の路地裏に入った。
バンッ!
私は壁に押し付けられた。
海人に抑えられている手を、
前に押し出そうにも、
ビクともしなかった。
私は、そのまま腕を拗らせて、
海人の手を振りほどいたが、
これは力じゃなくて、
技術だ。
海人からはいつも笑顔は消えて、
真剣に、言われた。
私は6人を過保護に心配しすぎていた。
そこまでこの6人は野暮じゃない。
それぐらい知ってるのに。
海人の笑顔を見て、自然と涙が出た。
今まで怖いのを必死に隠してきたのを、
ここで暴露して、
私自身がいかに6人が大切な存在なのか、
よく分かった。
そして、海人に怒られて、
自分が無駄に背負い込んでたものから、
解放されて、
涙が止まらなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。