流星 Side
突然やけど、僕達の紅一点はオタク。
自分でアイドルやってるから、
アイドルオタクならめちゃくちゃ幸せなんやろうと思うけど
そっちのオタクじゃなくて、2次元の方のオタク。
今日、久しぶりの休みやったから出かけたいなって思って
友達いなくていつでも暇そうなあなたちゃんを誘おうと
部屋の前まで来たけど
「 グへへへへへへへ、たまらんなぁ 」
流「 …… 」
僕はとんでもないものを見てしまった気がする。
かすかにあけられた部屋のドアから覗くと
信じられないような顔でアニメを見てた
…… 本当に信じられないような顔してる
( 昨日ステージで踊ってたよなぁ、仕事の時だけ別の誰かと
入れ替わってたりするんかなぁ。もうそうであって欲しい )
見なかったことにしようと思って静かにドアを閉めた
階段を下りて1階へ行くと、大橋くんがプリンを頬張ってた
和「 あ、流星。あなた部屋におった? 」
流「 うん、いた 」
和「 昨日仕事帰ってからご飯食べてないと思うねん、
作ったから流星持っていってあげてくれへん? 」
流「 あ、あの部屋にまた行かなあかんの!? 」
和「 え、あなたの部屋そんな危険なん? 」
あの部屋に入ったら何となく終わる気がする。
何が終わるかはわからんけどとにかく何かを失う気がする
和「 よろしく〜 」
流「 うん… 」
しょうがなく、大橋くんが作ったご飯をお盆に乗せて、
あなたちゃんの部屋にもう一度向かった。
流「 あなたちゃんー? 」
数回ドアをノックすると、ゆっくりドアが開いた。
流「 ひっ……!? 」
のらりくらりと出てきたあなたちゃんは、
気持ち悪いぐらいニヤニヤ口角を上げていて。
なんかもうホラー映像だった
「 あ…流星やん、どうしたー? 」
流「 こ、これ、大橋くんが…! 」
ゆっくりご飯を差し出すと、パァァッと目を輝かせた。
なんかペットみたい
流「 …なんのアニメ見てるん?
病んでる時の大ちゃんより酷い顔してるんやけど、 」
「 旦那見てる 」
流「 ……………… そっかぁ 」
僕には到底わからない世界やな。と思った
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!