第12話

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2020/04/20 10:07



「 それでは本番いきまーす!3!2!…… 」




スタッフの合図でエンディングの撮影が始まる。


私の足はカメラに映らないようにするらしい




目線の先を見ると、まなさんが楽しそうな表情で私を見ている





( あのクソ女… ) ←





そんなに私が不幸なのが嬉しいですかそうですか!!

ニヤニヤしやがって




流「 …… 今顔やばいで 」


「 え、マジ? 」



流「 うん。般若みたい 」





流星に言われ、慌てて表情管理をする。




( そうやって笑ってられんのも今のうちやぞクソ女 )




もうすぐ時間が来る。多分あと数秒で。






「 … あ!?カット!! 」



撮影中いきなり監督がカメラを止める

止めるというか、止まった




「 何これ!?なんでタイマーになってんの!? 」



「 こっちもカメラ止まっちゃいましたー! 」





別のカメラを操作していたカメラマンさんからも

そう口々に聞こえてくる。




「 おい誰だよ、最後にカメラの点検したやつ! 」





監督がスタッフを見渡すと、

皆必死に自分じゃないと首を振る。



その中に一人、真っ青な顔をして立つまなさん。




( ……あーあ、可哀想 )




「 最後に確認任されてるのまなじゃないの? 」


「 確かそうですよ、俺見ましたもん 」




「 か、確認はしましたけど!

タイマーなんてなってませんでした! 」



「 でも実際なってるだろ。お前の確認不足だ 」





監督がまなさんを怒るのを、

出演者も固唾を呑んで見守る。





和「 あなた、違ったら悪いんやけどさ 」



「 何? 」



和「 いや、正直違ってほしいけど、 」



「 だから何 」



和「 あれ、あなたの仕業じゃないよな? 」






祈るような目で私を見てくるはっすんに、

静かに微笑んであげた。



この世の終わりみたいな顔をしたはっすんを無視して、

目の前で怒られ続けているまなさんと監督の元に近づく




「 ……あの、監督さん、 」



私が来たことに驚いたのか、目を開いてこっちを見るまなさん



「 すいませんあなたさん。

ステージの件も、収録も中断してしまって…… 」




納得いかないような顔で私を睨むまなさんに、優しく微笑む




「 大丈夫ですよ。失敗は誰にでもありますし。

彼女もわざとじゃないんでしょう? 」





なんて、本当は私の仕業なんやけど

つくづく自分って最低だなって思う



まぁ、タイマーセットしたのは恭平なんだけどね()






「 あなたさんには迷惑かけてばかりで…

おい、謝ったらどうだ? 」


「 ……すみません 」






そうそう、その顔が見たかった

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