皆さんこんにちは〜私ね、モトキの彼女なの!もちろん、魚民さんには秘密なんだけど。付き合うまでの過程は恥ずかしいし長いから飛ばすけど、きっかけになったのはモトキがナンパから助けてくれたから!
甘やかしてもくれるし、優しいし、紳士だし。完璧なモトキは私の自慢の彼氏だ。
……だけど、完璧だからこそ欠けているとこもあるのだ。
……こうして男の子の名前を出しても頷いて話を聞いてくれるし飲みに行くのだって許してくれる。そう、モトキは嫉妬をしないのだ。
私はあれからモトキを嫉妬させるようにやってきたんだけど、嫉妬のしの文字も見えない状態が1週間も経った。
シルクさんは頬杖をつき、その整った顔に苦笑を浮かべた。私は項垂れながら机に突っ伏した。
急展開すぎる話に驚いて顔をあげた。いつもは「なんてな。」なんて言って笑うのに。なのに、今は真剣な眼差しでこちらを見つめていて。私が口を開こうとした時、誰かに腕を引っ張られた。
私はその人の胸の中へ一直線。そして、頭上から聞こえてきたのは聞き慣れた声だった。
緊張感のある空気が流れている中、私はモトキの腕の中で心臓が破裂しそうになっていた。両方の意味でね?
さっきの重い沈黙はシルクさんによって破られた。な、なんだ、冗談なんだ。少しでも揺らぎそうになった自分とそんな私をからかったようなシルクさんを殴りたい。
手を引いてモトキの家に帰り始めたんだけど、なんだかいつもと様子が違っていた。それが気になったけど、何も言わずにほっといた。
だけど、後々この行動が裏目に出るなんて思いもしなかった。
家についた後、いつも通り家に入ろうとすれば、家の玄関に押し付けられた。少し痛くて、顔を歪ませたあと顔を少し上げればモトキと目が合った。
耳に届いたのは私が聞きたかったはずの言葉。いや、今も嬉しいんだけど……なんか怖い。
正直全くと言っていいほど分かってなかった。モトキは嫉妬してないって。なんにも思ってないんだって。我慢してたなんて思ってなかった……
急なモトキの質問に首を振る。当たり前じゃん!人生で自分が可愛いなんて思ったことない!そうすると、モトキは溜め息を吐いた。
そう言ってモトキを見上げれば、ふっと笑った。
いきなりモトキに抱き上げられ、思わず声をあげてしまった。
そう言われ、着いた場所は……寝室だった。それに気付いた時には遅く、暴れても離してくれなかった。それで離したら私が落ちるんだけど。
モトキがそっと私をベッドに寝かせた。その隙に逃げようと思ってもすぐにモトキが覆いかぶさってきた。
その声が合図に、私は甘く溶かされていった。
それ以降、私がモトキを嫉妬させることはなかった(かも)。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!