医者「いつまた発作が起こるか分かりませんし、このまま入院した方が良いですね。」
あなた「……そうですか。」
目が覚めてから、医者に告げられた言葉。
いつかはこうなるって、分かってたけど。
あなた「よろしくお願いします。」
いざそれを知らされると、もう終わりは近いのだと思い知らされる。
国見「…とりあえず、目覚めて良かったです。」
医者が病室を出ていってから、国見がそう口を開いた。
国見が起きて、私が目覚めてるのを確認してからも言われたな、なんてことは黙っておく。
……あんなに泣かれるとは思わなかったな。
国見「あの、あなたさん。」
あなた「うん?」
気まずそうに目を逸らしながら私の名前を呼ぶ国見の方に顔を向けた。
国見「その、さっきはすみませんでした。……あなたさんは俺たちのため思ってるのに、さらに追い込むようなこと言っちゃって……。」
あなた「・・・。」
何を、と聞かずとも国見が何に対して謝っているのか分かった。
……謝ってほしいわけじゃないんだけどな。
だって国見は、
あなた「何も間違ってなんかない。国見の言う通り。だから、謝らないで。」
国見は、何も間違ってなどいないのだから。
あなた「それよりさ、お疲れ様。試合。」
国見「…ッ、はい。」
試合を見て、久しぶりに彼らの本気のプレーを見て。
…やっぱり、良いなって思った。
負けても、それでも絶対次こそ倒すんだと、目の光はまだ消えていなくて。
勝てるんだって、心のそこから信じていて。
あなた「春高予選頑張ってね。君たちなら大丈夫だよ。絶対。」
国見「……あなたさんも頑張るんですよ。いっしょに。」
あなた「・・・。」
春高予選は、夏が明けてから始まる。
……もう、その時には私がどうなっているかなんて分からない。
きっともう、その時には……。
国見「勝つので。見ててくださいよ、あなたさん。」
あなた「・・・。」
国見の言葉に、頷くことは出来なかった。
私が頷かなかった理由を、国見もきっと理解していて顔を歪める。
国見「……無理なお願いだって分かってます。」
今までずっと下げていた顔をこちらに向ける。
ぐしゃぐしゃに顔を歪めながら
国見「死なないで…ください…ッ。」
『それ以外、何も望まない。』
そう零しながら、ボロボロと涙を流す国見。
あなた「ごめんね、そのお願いは聞けないや。」
国見「…ッ。」
君の、ただひとつの願いも叶えられない。
……そんな私だから、嫌ってくれて良いよ。
今回あまり上手く話まとまらなかったです
めちゃくちゃ下手ですねすみません
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!