及川 𝒮𝒾𝒹𝑒
及川「……嘘、でしょ?」
“中央病院に来てください。”
たったひとこと。それだけの文面のメールが国見ちゃんから届いた。
夜、遅い時間で今いっしょにいない岩ちゃん達にも呼びかけ、4人で病院へ向かった。
病院につくと、待合室にポツリ1人座る国見ちゃんと
そんな国見ちゃんを立ってただ黙って見つめる金田一の姿があった。
彼らに近づき、国見ちゃんに“ついてきてください”と言われ、黙ってついて行った。
ある部屋の前で立ち止まって、そこのネームプレートにあなたの名前が書かれていて………
国見ちゃんは震えた手で、その扉をあけた。
そこには、静かにただ眠っているだけのように見えるあなたの姿があって…。
だけど_______
国見「……もう、ダメなんです。」
及川「……ぇ。」
国見ちゃんのその言葉で、
察したくないもの全てを察せてしまった。
国見 𝒮𝒾𝒹𝑒
持っていたカバンを、ストンと床に落とす及川さん。
彼の後ろで、信じられないものを見たかのように目を見張る岩泉さん達。
あなたさんから目を背け、下を向く金田一。
……俺はと言うと、涙なんてでず。
目は酷く乾いている。
国見「あなたさんは、最期まであなた達を信じてた。……ずっと、あなた達を想ってた。」
俺にこんなこと言う資格がないことなど分かっている。
あなたさんはこんなこと望んでないって、分かってる。
それでも、やり場のないこの悲壮感を、なんとも言えないこの蟠りを。
どこにぶつければ良いのか、見つからなくて。
国見「あんた達は…中途半端すぎた。あなたさんがどれだけ辛い想いをしてたか、分かりますか?」
俺だって悪い。
要らぬ意地を張っていた俺を。
それでも、こうして誰かを責めることでしか
今の自分を、抑えられる気がしなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!