side あなた
この世界に生まれ落ちて8年目。
前世で生きた歳を足すと…まぁだいたい30年くらい。
あなたの一人称、あなたの名字 あなたは人生の勝ちを確信致しました。
ここは、ヒロアカの世界!!
てことは、ワンチャン推し達に会えるってことでしょ?!?!
思わず叫び声を上げて、ガッツポーズを決めた。
1階から母のそんな声が聞こえやべ、と反射的に口を手のひらで覆う。
バレないうちに、と父のパソコンをシャットアウトして書斎から逃げ出した。
ぼふり。
思いっきりベッドの上に転がり、まだ理解の追いついていないところを整理する。
ここは、ヒロアカの世界で、私は個性を持っていて、ワンチャン推し達に会えて、
やばい。考えるだけで鼻血でそう。
そんなことを考えながら、ふと、あることを思いつく。
雄英高校に入学すれば間近で推し達見れるんじゃね…?
私まだ8歳だし、全然行ける!
もし居なかったとしても同じ空気吸いたい!!!
傍から見れば動悸がクソかもしれない。
でも、あなたの一人称にとっては命をかけても構わないと思えた。
そう。これは中身は20歳をすぎたアニヲタババアが推し達に会うため(同じ空気を吸うため)に一生懸命頑張る。そんな物語である。
待ってろ雄英!!!
待ってろ雄英の空気!!!
全部吸い尽くしてやる!!
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!