あの日から路地裏の近くは通ってない
通ったらうっかり会っちゃいそうで
それに見たくない
ジミン君とあの女の子が一緒にいるところなんて
少し遠回りして私は家に帰る
その声に顔を上げるとあの茶色い子猫が
なんでここに?
あの路地裏からは結構遠いのに
でも猫だし散歩でもしてるのかな
そう思って子猫に近づく
撫でると気持ちよさそうな顔をして
自然と口角が上がる
心が優しい気持ちで満たされて
ジミン君と過ごした日々を思い出してしまう
こんな気持ちになれるのジミン君だけだったのに
視界がぼやけて
自然と涙が流れてくる
子猫が顎に流れた涙を舐める
ちょっとザラザラしてて
でも涙は止まらなくて
私は静かに涙を流す
足音が聞こえて
私はゆっくりと振り返った
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。