私達は作戦作り開始早々死にそうになっていた。
それもそのはず、道具もないし、アイデアもないし、何にもなくて、お手上げなんだもん。
なんだろう。
アレアが自分から意見を言うなんて珍しいな。
仲間…かぁ。
そんな簡単に集まるものじゃないし…それに…
ハルが頬に手を当て、どうしたら… と悩んでいた時
「トントン」
と、部屋のドアをノックする音が聞こえた
明るいオレンジ色の、所々はねた髪の毛に、綺麗な夕焼けの色をした瞳。
え〜っと…この子は……
部屋に入ってきた時の、どこか不安そうな顔が一変、パァァと明るくなり元気よく頷く。
と思ったら次は、何か申し訳なさそうな表情になり
盗み聞きしていたことに罪悪感を覚えていたのか。
盗み聞きされていたことなどどうでもいい
僕たち…ということは…
…まさかこのタイミングで仲間ができるなんて思ってもみなかった。
盗み聞きのことは気にしなくていいよ、という意味を込めて、万遍の笑みで私は激しく頷いた。
・・・・・・
サッターが部屋を出てから5分後。
私達3人だけだった部屋には、倍以上の人が立ち尽くしていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!