いつものようにカトクを開いてみる
【あなたは退会しました。】
といういつもどうりの文字が冷たく書いてあるだけで、半年前の会話が上のほうに書いてある、
そうつぶやいた、君に届かず行き場のないこの思いは、消えるだけなんだ
もうあなたは、ほかに大切な人ができたのかもしれない
僕のことなんて忘れたのかもしれない
カタン
あなたと僕がデートした時の写真が倒れた
後ろに何か貼ってある?
メモ用紙?
あなたの字で、私の最愛の人へと書いてあった
メモ用紙を持つ手が無意識に震える
無意識に涙が出る
最愛の人…
好きだよ、そう笑いかけるあなたの姿が浮かぶ
楽しそうにこっちを見て笑う君を思い出す
メモ用紙をおいて
ベッドに入り込む、いつの間にか夜になっていたんだ
寂しい一日におわりを告げた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!