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第7話

サヨナラ
40
2020/01/15 14:54
アルバムには私と私のとなりに天彦君が笑っていた。そして次のページには私が泣いていて天彦君はいなかった。
その瞬間私はすべてを思い出した。
私と天彦君が付き合っていた事、天彦君と公園で遊んだこと、私の家に来るときに交通事故にあった事。
天乃原 留奈
天乃原 留奈
...ハァッ...ハァッ、ハァッ。
アルバムを私の涙が濡らす。
袖で拭っても涙が溢れてしまう。
天乃原 留奈
天乃原 留奈
うぇっ...ひっ...ひっ... 
嗚咽が呼吸と一緒にでて苦しくなる。
天彦君...ッ
ひたすら辛い気持ちが出くる。
???
???
留奈...進んで...
声が聞こえた...
この声は...
私は顔を上げた。
天乃原 留奈
天乃原 留奈
天彦君...ッ!
私の目の前には天彦君がいた。
少しからだが透けている。
海毬 天彦
海毬 天彦
留奈、一緒にいられなくてごめん。僕はもう少ししたら夢の世界から天国へいかないといけない。だから留奈に今から伝えたいことがある。
天乃原 留奈
天乃原 留奈
何...?
海毬 天彦
海毬 天彦
留奈、僕はこれからいなくなっちゃうけど、留奈は進みつづけて。僕は天国で見てるから。
天乃原 留奈
天乃原 留奈
嫌だ嫌だ。もうサヨナラしたくないよ...
海毬 天彦
海毬 天彦
僕はもう出会ったときみたいに留奈を助けることはできないけど、過去を受け入れられた今の留奈なら大丈夫だから、僕の分まで楽しく一生懸命生きてほしい。
天彦君は私の頬についていた涙を指で拭って耳元で囁いた。
海毬 天彦
海毬 天彦
次に出会ったときは絶対に一生留奈を守り続ける。
そして天彦君はわたしの唇に自分の唇を重ねた。
海毬 天彦
海毬 天彦
これは誓いだよ。
そう言うと天彦君は空へ溶けていった...。
天乃原 留奈
天乃原 留奈
(私も進まないと...!)
私は天彦君が消えていった空を見上げて呟いた。
その言葉への理由はなかったが私は確信していた。
「また絶対に私たちは巡り会える」と...

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