翌朝、アリシアは目が覚めるとすでに真横にリズが立っていることに気づいた。
「うわぁああ!」
「びっくりしないでくださいよ、もう…本まみれですねこのベッドは…」
「びっくりするわよ…!本はいいでしょう?」
「うふふ…さあ、アリシア様?歯磨きをしてくださいね?朝食の用意がもうできていますよ?」
「ありがとう……」
アリシアは歯磨きをした後、すぐに席についた。
❅
「さあ、食べ終わったことだし…お話しましょう!」
アリシアはウキウキでリズをソファに座らせてからそう言った。
「いいですよ…!何から話します?昨日の続きの恋の話…?」
「恋の話…から…」
「うふふふふ、やっぱり好きなんですねぇ、一目惚れ、ですか?」
「ええ、そうよ。おかしいと思うけれど、昨日初めて話したときになんだかドキドキしちゃって」
「一目惚れだっておかしくありませんよ。おかしくないから一目惚れなんて言葉があるのだと私は思っていますよ」
「そう…ね、きっとそうだわ」
「それでそれで…彼のどのあたりが好きなんですか?」
「ツリ目…あと、さらっとカッコいいこと言ってくれるところ」
「確かに………ツリ目ってカッコいいですよね。あっ、アリシア様は、いつ頃から、一目惚れしたって自覚したんですか?」
「えーと…確か…名前で呼んでくれたあたりから」
「うわぁ~!感動です…自分の主が恋を自覚……」
「とっても嬉しかったわ…」
「それでそれで、どうするんですか?」
「本当はお付き合いしたい………でも、叶わないのよ。私は貴族、彼は使用人よ。こんなのありえないわ」
「ダメだと、はっきり言われたんですか?」
「ええ、二年ほど前にお母様に言われたの。身分差の恋は許されないって。だから諦めるしかないの」
「………でも、それでも、それでもですよ。想いを伝えるのは、どうですか」
「叶わないのは前提として、よね……でも、それが一番、いいわ。今日、話しかけてみる…!」
アリシアはそう言って、すぐ、落ち込んだ。
「本当に、大丈夫かしら…思いを、伝えられるかしら…わたし、ほら、こうやってよく焦るから…」
「きっと、大丈夫ですよ。学校のスピーチの課題が出たときもそう言っていましたが、本番できちんとスピーチを成功させましたし。それに、私はこのことを決してに他の誰にも話しません。安心して、想いを伝えてください。」
「ええ、そうするわ…ありがとう」
その後はしばらく黙ってしまった。
「そろそろお話、終わりますか?」
「ええ…そうするわ…ごめんなさい。一人で考えたいことができちゃったわ。」
「大丈夫ですよ。悩むことなど人なのですから誰でもあることです。それでは、私は少し早いですが、仕事に戻ることにしますね。」
「ありがとう…リズ」
❅
(はあ…やっぱり身分差で、悩むと思っていたわ。リズとのお話も気乗りしなくなっちゃった…申し訳ないわ。)
アリシアはしばらく考え事をすることにした。
(イヴにはいつ話しかければいいかしら…もしかして今?……やっぱり、今しかないわ。このあと夕方はお勉強しなくちゃならないもの)
アリシアは部屋を出て、すぐにイヴを探しに行った。いるのは三階の父の部屋あたりだと思い、さっそく歩く。
(いない…どこ…?)
すると、前から一人のメイドが歩いてきた。
「ねえ」
すかさず話しかける。
「わあ!?ご、ごめんなさい…!びっくりしてしまいました」
「大丈夫。ところでイヴさんを見かけなかったかしら?少し用事があるのだけれど」
「執事さん……たしか、すぐちょっと前に二階に行ったと誰かが言っていたのを聞きました」
「あら、そうなのね。ありがとう」
(聞いてよかったわ。二階にいるのね。)
二階に降りて、廊下を右から回ることにした。
すると、そこに歩いているイヴを見かけた。
「あの…っ!」
「はい?」イヴは振り返ると驚いた顔をする。
「ど…どうしましたか?」
「今から、図書室に来て…、お願い!本が取れないの!」
「………?わかりました」
(よかった…言えた!ちょっと違うけど…まあ…いいかしら…?とりあえず、図書室…!)












編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。